営業戦略の立て方とは?AIを活用して分析からKPI設計まで進める手順

営業戦略の立て方の記事のイメージ図

結論:営業戦略の立て方は「環境分析→ターゲティング→戦略仮説→KPI設計→実行と振り返り」の5ステップで立てると、何から手をつけるか迷わずに組み立てられます。各ステップで生成AIを壁打ち相手やたたき台づくりに使えば、一人でも素早く質を上げられます。

期初の方針や中期計画を前に「営業戦略をどう組み立てればいいか」で手が止まる。そして時間がかかる。営業責任者や営業企画の方から、この声をよく聞きます。一般的なフレームワークの名前は知っていても、具体的に自社に合わせて営業戦略を考えるとなると難易度が上がります。特に、まだ経験のあまりない営業管理職や、営業戦略を考えるよりも現場の感覚で施策を考えてきた方には少し面倒だったり、意味を見出せない方もいると思います。

大枠でもいいので営業戦略はあったほうが組織が迷わず実行できる一つの道筋になると考えます。しかし、営業はどうしても目の前の顧客対応が中心ですし、営業管理職であっても同行営業や顧客対応を行う、営業プレイヤー業務も行う方も多く、あまりじっくり戦略立案をする時間が取れないというジレンマもあります。

このジレンマは生成AIを活用することで解決できます。本記事ではAIをあなたの右腕として、あなたの営業参謀として活用する手順を整理していきます。

目次
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営業戦略とは?立て方の前に押さえる戦略と戦術の違い

結論:営業戦略とは、限られた人と時間をどこに集中させるかを決める設計図です。戦略は「どの市場の・どの顧客に・何を強みに売るか」という大きな方針、戦術はその方針を実行する個別の打ち手を指します。ここを切り分けないまま施策だけを増やすと、現場は動いているのに数字が伸びない状態に陥ります。まず戦略を定め、戦術はその下にぶら下げる。この順番が成果の前提になります。

立て方の手順に入る前に、言葉の整理をしておきます。ここがずれていると、戦略を立てたつもりが個別の打ち手の寄せ集めになりがちです。

営業戦略と営業戦術はどう違うか

営業戦略はいろいろな定義で紹介されることがありますが、本記事では「どこで、誰に、何を売るか」という大きな方針、という定義で進めます。対して営業戦術は、その方針を実現するための個別の打ち手を指します。テレアポの件数を増やす、提案資料を作り直す、といった動きは戦術にあたります。方針が決まっていないまま戦術だけを増やすと、努力の方向がばらつき、成果が安定しません。先に戦略で的を絞り、その的に向けて戦術を選ぶ順番が基本です。

営業戦略と経営戦略・マーケティング戦略との違い

営業戦略は単独で存在するものではなく、上位の戦略を受けて動きます。3つの関係を整理すると次のとおりです。

  • 経営戦略:会社全体としてどの事業にどう投資し、どの方向へ進むかを決める
  • マーケティング戦略:市場の中で、誰にどんな価値をどう届けるかを決める
  • 営業戦略:その方針の中で、営業部門が具体的にどう売るかを決める

営業戦略は、経営戦略とマーケティング戦略を現場の売り方に翻訳する役割を担います。上位の方針とつながっていれば、現場の動きが会社の目標に素直に乗ります。

営業戦略を立てる目的

営業戦略を立てる一番の効果は、現場が迷わず動けるようになることです。誰に優先的にアプローチし、どの商材を前面に出すかが決まっていれば、限られた人と時間を一点に集められます。逆に方針が曖昧だと、案件ごとに判断がぶれ、投資が広く薄く分散します。戦略を1本通すだけで、同じ営業組織でも成果の出方が変わります。

営業戦略の立て方の全体像|5ステップと使うフレームワークの一覧

結論:営業戦略は、環境分析・ターゲティング・戦略仮説・KPI設計・実行と振り返りという5つのステップで組み立てます。どこから手をつけるか迷うのは、この全体像が見えていないからです。各ステップで使うフレームワーク(3C、STP、KPIツリーなど)と、AIに任せる作業・人が決める判断を先に押さえておけば、途中で立ち止まりません。次の章から、ステップを順番に具体化していきます。

営業戦略の立て方は、次の5ステップに分けると組み立てやすくなります。各ステップで使うフレームワークと、生成AIに担わせる役割を一覧にしました。

ステップ使うフレームワークAIが担う役割
1 環境分析3C・SWOT観点の洗い出し
2 ターゲティングSTPセグメントの切り口を広げる
3 戦略仮説勝ち筋仮説・4P仮説を量産、人が1〜2案に絞る
4 KPI設計KGI設定・KPIツリー分解構造のたたき台
5 実行と振り返りPDCA商談記録の要約・示唆出し

営業戦略立案でよくある失敗3点

立て方の手順に入る前に、つまずきやすい3点を先に共有します。どれもこの後のステップで対処できます。

  • 目標が曖昧:売上目標やKPIがはっきりせず、現場が何を追えばいいか分からない
  • 現場を無視して机上で決める:実態に合わない戦略になり、現場が動かない
  • 立てて終わり:振り返らず、戦略が形だけになる

営業戦略の立て方 ステップ1:環境分析|3C・SWOTでAIと観点を出す

結論:最初のステップは、顧客・競合・自社の現在地を言葉にすることです。3CやSWOTは、その整理を漏れなく進めるための型にすぎません。生成AIを使えば、業界動向や競合の公開情報を短時間で洗い出し、見落としがちな観点まで広げられます。ただし、どの情報が自社の実態に合うか、何を捨てるかの判断は、現場を知る人が握ります。AIで素早く材料を集め、人が取捨する。この組み合わせが環境分析を速く正確にします。

最初のステップは環境分析です。ここで決めたいのは、自社の強み弱みと市場機会について「次の手を判断できる状態」になることです。

営業戦略の環境分析:3C・SWOTで何を決めるか

3Cは顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つの視点で市場を整理するフレームワークです。SWOTは自社の強み・弱み・機会・脅威を並べて、勝てる領域を見極めます。このステップのゴールは、フレームワークの枠を埋めること自体ではありません。「自社はどの市場で、どの強みを武器に戦えるか」を言葉にできる状態にすることです。枠を埋めて満足せず、そこから言えることは何かまで踏み込みます。

環境分析で生成AIを使う|業界動向と観点出しの壁打ち

環境分析の最初のハードルは、論点を漏れなく洗い出すことです。一人で考えると、いつも同じ視点に偏ります。ここで生成AIを壁打ち相手にすると、見落としを拾えます。たとえばこう指示します。

「SaaS導入支援を営業している30名規模の会社が、3Cの観点で顧客・競合・自社の論点を整理したい。見落としがちな観点を5つ挙げて」

出てきた観点をたたき台に、自社の実態と照らして取捨します。AIは発想を広げる役で、何が自社に当てはまるかの判断は人が行います。

環境分析でAIに任せる部分と人が決める部分

環境分析でAIに任せられるのは、観点の洗い出しまでです。生成AIが持つのは公開情報だけです。商談で実際に刺さった言葉、顧客が現場でこぼした声は外側にあります。出てきた観点のうちどれが事実に合うか、何を捨てるかは、自社の現場を知る人が判断します。AIの整理を起点にしつつ、最後の確認は人が握ります。

営業戦略の立て方 ステップ2:ターゲティング|STPでAIと絞る

結論:環境を整理したら、次は狙う相手を一つに絞ります。全方位に売ろうとするほどメッセージは薄まり、誰の心にも刺さらなくなります。STPの考え方で市場を分け、自社が一番勝てるセグメントを主戦場に決め、「なぜ自社を選ぶのか」を一言で言える状態をつくります。AIには顧客像の切り口出しやペルソナ仮説のたたき台を任せ、最終的にどこへ張るかは事業の意思として人が決めます。

環境分析で市場と自社が見えたら、次は狙う相手を絞ります。STPを使って、どの顧客にどう向き合うかを決めます。

営業ターゲティングにSTPで顧客セグメントとポジションを決める

STPは、市場を細分化し(Segmentation)、狙う層を選び(Targeting)、その層の中での立ち位置を決める(Positioning)流れです。全方位に売ろうとすると、メッセージがぼやけて誰にも刺さりません。業種・規模・抱える課題などの軸で顧客を切り分け、自社の強みが最も効く層に的を絞ります。その層に対して「他社ではなく自社を選ぶ理由」を一言で言えるようにするのがポジションです。

ターゲティングで生成AIを使う|セグメントの切り口とペルソナ仮説のたたき台

セグメントの切り口は、慣れた市場ほど思考が固まりがちです。生成AIに広げさせると、自分では選ばない軸が出てきます。

「BtoB SaaSを売る30名規模の営業組織が狙う顧客を、業種・規模・課題の軸でセグメントの切り口を6つ出して。各セグメントの仮ペルソナも一言で」

出てきた切り口とペルソナは仮説として扱い、自社の受注実績で絞り込みます。

営業戦略:決めたターゲットの購買プロセスを押さえる

狙う層が決まったら、その層が「どう情報を集めて、何を基準に購買を決めるか」を仮説で描いておきます。最初にWeb検索で比較する層なのか紹介経由が中心なのか、決裁までに何人が関わるのか。この購買の流れ(カスタマージャーニー)を押さえておくと、次の戦略仮説で打ち手がぶれません。完璧に当てる必要はなく、現時点の仮説で十分です。

ターゲティングでAIに任せる部分と人が決める部分

ターゲティングで生成AIが得意なのは、切り口を広く出すことです。ただし、どこに資源を集中するかは人が決めます。自社の体力と勝てる確度を知っているのが現場の人間だからです。AIは選択肢を並べられても、自社が今期その層に張れるかどうかは判断できません。ここでは主戦場を一点に絞ります。

営業戦略の立て方 ステップ3:戦略仮説づくり|勝ち筋を複数出してAIと絞り込む

結論:ターゲットが決まったら、そこで勝つための筋道、つまり戦略仮説を立てます。勝ち筋は一つではなく、価格・提案の深さ・対応スピードなど複数あり得ます。生成AIに「考えられる勝ち筋を複数挙げて」と発散させると、自分だけでは出てこない選択肢が並びます。そこから自社の実行力で本当に勝てるものを人が一つ選ぶ。この発散と決断の役割分担が、戦略の質を大きく左右します。

ターゲットは固定したうえで、そのターゲットに対する戦略オプションを複数出して比べます。最初に思いついた1案に飛びつかないことが、ここでの要です。戦略仮説は発散から入り、人が絞り込む順番で進めます。

営業戦略の勝ち筋仮説を複数出して比べる

勝ち筋とは、その顧客に対して自社が選ばれる道筋のことです。価格で勝つのか、導入後の伴走で勝つのか、特定業種への深さで勝つのか。道筋は1つではありません。最初に浮かんだ案がベストとは限らないので、いったん複数並べてから最も良いと思う案を選びます。並べることで、初案の弱点や、見落としていた別の道筋に気づけます。

営業戦略で1案に飛びつく罠と比較基準の持ち方

仮説を5つ出したとして、何を基準に絞るか。基準がないと、結局は声の大きい人の好みで決まります。次の3つの軸で各案を見比べると、選ぶ理由が言語化できます。

  • 実行可能性:今の人員と予算で、現実に回せるか
  • 競合との差異:他社がやっていない、または真似しにくいか
  • 自社の強みとの一致度:環境分析で見えた自社の強みを活かせるか

3軸で点数をつけて並べると、上位2案が自然に浮かびます。感覚で1案に決めるより、後から「なぜこの戦略か」を社内に説明しやすくなります。

戦略仮説で生成AIを使う|発散と絞り込みの2段の指示文

このステップは、生成AIを2段で使うと効率が上がります。まず発散させ、次に同じ軸で評価させます。

  1. 「このターゲットと自社の強みを踏まえ、勝ち筋の営業戦略仮説を5つ、前提と狙いをつけて出して」
  2. 「出した5案を、実行可能性・競合との差異・自社強みとの一致度の3軸で評価して、上位2案を選ぶ理由も書いて」

2段目でAIに評価させると、自分の評価と突き合わせられます。AIの採点を鵜呑みにせず、自社の事情で重みを変えて最終決定します。

営業戦略を4Pで具体的な打ち手に落とす

絞った勝ち筋は、まだ方針のままです。これを4Pで「何を・いくらで・どこで・どう売るか」に具体化します。4Pは製品(Product)・価格(Price)・流通=チャネル(Place)・プロモーション(Promotion)の4要素で打ち手を整理するフレームワークです。たとえば「導入後の伴走で勝つ」と決めたなら、製品はサポート込みのパッケージ、価格は月額の継続課金、チャネルは紹介中心、プロモーションは事例発信、という具合に各要素へ落とします。指示文の例はこうです。

「このターゲットと選んだ戦略仮説に対し、4P(製品・価格・チャネル・プロモーション)の切り口で具体的な打ち手を出して」

戦略仮説でAIに任せる部分と人が決める部分

仮説の数は、生成AIならいくらでも出せます。しかし、選んだ仮説を実行して結果に責任を負うのは自社の組織です。どれに張るかを絞る判断は、実行できる人が持ちます。AIは「こういう道筋もある」と示せても、その道を自社が走り切れるかは分かりません。どれに張るかは自社の体力と優先度で人が決めます。この役割分担を崩すと、絵に描いた戦略になります。

営業戦略の立て方 ステップ4:KPI・アクション設計

結論:戦略は、現場が毎日追える数字に翻訳して初めて回り始めます。まず到達目標となるKGIを決め、そこから受注数・商談数・行動量へとKPIツリーで分解します。AIはこの分解の骨組みづくりやアクション案のたたき台に向いていますが、自社の行動キャパや過去の実績値までは知りません。目標値と現実的な配分は、人が実数で埋める必要があります。骨組みはAI、数字は人。この分担でKPIは机上論で終わらなくなります。

戦略の方向が決まったら、それを追える数字に変えます。まず到達点となるKGIを置き、そこから現場の行動量まで分解します。

営業KGIを決める

KGIは、営業組織が最終的に達成すべき到達目標です。多くの場合、年間売上や新規顧客数がこれにあたります。KGIは経営計画や事業計画から逆算して決めます。ここで大事なのは、数字を具体的で測れる形にすることです。「売上を伸ばす」では追えません。「年間売上5,000万円」「新規顧客30社」のように、期限と数値をセットで置きます。指示文の例はこうです。

「経営計画の売上目標◯円を起点に、営業のKGI候補を逆算して3パターン出して」

営業KGIからKPIツリーへ分解する

KGIが決まったら、それを構成する要素へ分解します。年間売上なら、受注数×平均単価。受注数なら、商談数×受注率。商談数なら、行動量(架電やアプローチの件数)×アポ率。こうして到達目標を、現場が日々追える行動の数字までつなげるのがKPIツリーです。パイプラインの予測はAIで売上予測はできるかの記事をご覧ください。

KPI設計で生成AIを使う|分解と行動計画のたたき台

ツリーの分解は、慣れないと組み方に迷います。生成AIにたたき台を作らせると、骨組みが一気に見えます。

「年間売上5,000万円のKGIを、平均受注率20%・平均商談数30件の実績を起点にKPIツリーへ分解するたたき台を作って。月次の行動計画案も」

出てきたツリーは論理の骨格です。ここに自社の実績値を入れて、現実的な数字に直します。

KPIの中核となる受注率そのものをAIで上げる打ち手は、受注率を上げるには?AI活用で成果の出る営業組織にする方法で解説しています。あわせてご覧ください。

KPI設計でAIに任せる部分と人が決める部分

生成AIの分解は、論理としては正しく組まれます。ただし、AIは自社の行動キャパや過去の実績値を知りません。1人が月に何件回せるか、去年の受注率が実際いくつだったか。こうした目標値の設定と現実的な配分は、人が実績で埋めます。ツリーの骨組みはAIが出し、数字の中身は自社実績を持つ人が埋める。ここを取り違えると、達成不可能なKPIが並びます。

営業戦略の立て方 ステップ5:実行と振り返り

結論:戦略は立てて終わりではなく、回しながら直していくものです。商談記録や日報には改善のヒントが眠っていますが、量が多くて振り返りが後回しになりがちです。生成AIに「勝ちパターンと失注理由に分けて要約して」と任せると、見るべき要点が短時間で浮かび上がります。出てきた示唆をもとに次の打ち手を決め、戦略を小さく修正し続けることで、計画は現場の実態に合っていきます。

戦略とKPIが揃ったら、回しながら直していきます。立てた戦略を一度きりで終わらせないために、振り返りの仕組みを最初から組み込みます。戦略を回す土台になる営業生産性の測り方と高め方は、営業の生産性とは?指標の計算方法とAIで生産性向上するにはで扱っています。

営業戦略は立てて終わりではない

戦略は実行して結果を見て、ずれていれば直す。このPDCAを回して初めて成果につながります。ここで効いてくるのが、役割に応じた生成AIの使い方です。戦略やKPIのたたき台を作るのは管理職ですが、実行フェーズではメンバークラスもAIを使います。商談準備、振り返りメモの作成、顧客フォローの訴求案といった日々の作業をAIで速めると、振り返りから改善までの1サイクルが短くなります。戦略は上が立て、現場はAIなしで実行、という分け方だとPDCAが詰まります。役割ごとに全員がAIを道具として使うほど、改善の回転が速まります。

振り返りで生成AIを使う|商談記録・日報の要約と示唆出し

振り返りは大事だと分かっていても、商談記録を読み返す時間が取れずに飛ばしがちです。生成AIに要約させると、このハードルが下がります。

「先週の商談記録の要点を、勝ちパターンと失注理由に分けて要約し、次週の打ち手の候補を3つ出して」

営業戦略づくりで生成AIを使うときの注意点

結論:生成AIを戦略づくりに使うときは、任せる範囲を先に決めておくことが欠かせません。AIが得意なのは下書きづくりと情報の整理までで、顧客の機密情報や評価に関わるデータをそのまま入力するのは避けます。法人向けプランのデータ取り扱い設定を確認し、誰が何を入力してよいかを社内で決めてから使い始めます。最終的にどの戦略を選ぶかの意思決定は、事業への影響を見渡せる人が握ります。

各ステップで共通して気をつけることが3つあります。それは、入力する情報の範囲、個人情報の扱い、出力の鵜呑みを避けることです。

AI活用時に入力する情報の範囲を決めておく

3CやSWOT、4Pといったフレームワークの穴埋めにAIを使うとき、つい競合他社の情報や自社の未公開情報をそのまま貼り付けたくなります。ここにリスクがあります。会社として使うなら、入力内容を学習に使わない設定や、管理者が利用範囲を制御できる法人向けプランを前提にするのが安全です。具体的な扱いは各社の規定で確認できます(Google データ処理規定OpenAI エンタープライズプライバシーAnthropic 商用利用規約(データ非学習条項))。個人アカウントで機密情報を雑に入力するのは避けましょう。

AI活用で押さえておく横断的なリスク

情報の扱いに加えて、もう2つ押さえておきます。1つは個人情報です。顧客名や担当者名は伏せて入力し、固有情報を渡さない形で使います。もう1つは出力の鵜呑みを避けることです。AIが出した分析や仮説には、事実と異なる内容が混じることがあります。数字や固有名詞は一次情報で確認してから戦略に組み込みます。法人利用の設定、個人情報の伏せ方、出力の確認。この3つを習慣にすれば、戦略立案でAIを安全に使えます。

立てた営業戦略を実行・定着させるには

結論:戦略を立てても、それを回し続けるのは結局のところ人と組織です。管理職が戦略とKPIを設計し、メンバーも日々の実行や振り返りでAIを使うようになると、改善のサイクルが速く回り始めます。逆に、上が立てた戦略を現場が我流で実行するだけでは、せっかくの設計も形骸化します。役割に応じて組織全体がAIを使いこなす状態をつくる。その型を社内で揃える手段の一つが、外部研修や定着支援です。

5ステップを回したら、次は戦略を現場に根づかせる段階です。これができないと、せっかくの戦略が資料の中だけで終わります。

営業戦略を回すのは人と組織

戦略は人と組織が動かして初めて成果になります。立てた本人だけが内容を理解している状態では、現場の動きは変わりません。戦略の意図、狙う顧客、追う数字をチームで共有し、日々の商談に落とし込む。この翻訳作業まで含めて、戦略の定着です。

戦略を回す組織にAI活用を定着させる研修の選び方は、AI研修とは?法人向けの種類・費用・選び方で解説しています。あわせてご覧ください。

戦略を組織で動かし続けるときの3つの落とし穴

設計は正しくても組織運用で止まるケースがある。現場でよく起きている3パターンです。

  • KPIが数字だけで個人の行動に落ちていない。「受注数30社」は決まっても、誰が何件アプローチするかが曖昧なため、KPIが宙に浮く
  • 振り返りが月1回の会議だけで、週次・日次の軌道修正がない。気づいたときには月の半分が過ぎている
  • 戦略と採用・育成が連動していない。狙う顧客セグメントを変えたのに、そこを売れる人材が育っていない

1つ目はKPIツリーを行動量まで分解することで、2つ目は日々の振り返りをAIで軽くすることで対処できます。3つ目の人材面は、部下・若手社員の育成の記事で扱っています。

実行定着のために読んでほしい関連記事

営業力・組織・育成の詳細はそれぞれの記事もご覧ください。

AI研修で生成AIの使い方を組織全体に揃える

AI時代は、戦略が現場で回り続けるかどうかは、組織全体でAIをどう使うかにかかってきます。管理職は戦略やKPI設計でAIを使い、メンバーは実行と振り返りでAIを使う。役割別のAI活用が噛み合うと、戦略から現場、現場から改善への流れが滞りません。ただし、誰が何にどう使うかを全員が独学で揃えるのは難しいのが実情です。人によって習熟差が出て、我流や属人化が起きます。

そこで選択肢になるのが、組織全体でAI活用の型をそろえる取り組みです。ChatGPT・Gemini・Claudeを営業現場でどう使うかに特化した生成AI営業研修や、既存業務フローへのAI導入支援を通じて、使い方の水準を合わせます。株式会社AnataAIではこうした生成AI営業研修と導入支援を提供しています。

まとめ:営業戦略の立て方は5ステップとAIの使い分けで前に進める

営業戦略は、順番に分けて立てれば一人でも組み立てられます。何から手をつけるか迷ったら、次の5ステップを上から進めてください。

  • 環境分析:3C・SWOTで市場と自社を整理。AIで観点を洗い出し、取捨は人が行う
  • ターゲティング:STPで狙う顧客を絞る。切り口はAIで広げ、集中先は人が決める
  • 戦略仮説:勝ち筋を複数出し、3軸で比べて1〜2案に絞る。4Pで打ち手に落とす
  • KPI設計:KGIを決め、KPIツリーで行動量まで分解。骨組みはAI、数字は人が埋める
  • 実行と振り返り:商談記録をAIで要約し、改善を回す。修正の判断は人が握る

各ステップで生成AIをたたき台づくりに使えば、立て方の負担はぐっと下がります。営業戦略の整理、AI活用の推進を強化したいときは問い合わせページからご相談ください。

Q1. 営業戦略の立て方は何から始めればいいですか?

A. 環境分析から始めます。自社の強み弱みと市場機会を整理してから、ターゲティング、戦略仮説、KPI設計、実行と振り返りの順に進めます。いきなり打ち手を決めるのではなく、誰に何を売るかの前提を固める順番が、迷わず組み立てるコツです。

Q2. 営業戦略と経営戦略・マーケティング戦略はどう違いますか?

A. 会社全体の方向を決めるのが経営戦略、市場でどう価値を届けるかがマーケティング戦略、その中で営業部門がどう売るかが営業戦略です。営業戦略は上位の2つを受けて、現場の売り方に落とし込む位置づけになります。

Q3. 営業戦略でよく使うフレームワークは何ですか?

A. 3C・SWOT(環境分析)、STP(ターゲティング)、4P(打ち手の具体化)、KGI設定とKPIツリー(目標の分解)が代表的です。フレームワーク単体を覚えるより、立て方の手順のどこで使うかをセットで押さえると実務で動かせます。

Q4. 営業戦略づくりに生成AIはどこまで使えますか?

A. 観点の洗い出し、仮説のたたき台づくり、商談記録の要約までは生成AIで素早く進められます。一方で、どの戦略を選び、どこに資源を集中するかという意思決定は人が行います。AIは戦略立案を加速する道具で、決めるのは人という線引きが基本です。

Q5. 立てた営業戦略が形だけになるのを防ぐには?

A. KPIを現場の行動量まで分解し、月1回の会議だけでなく日々の振り返りで修正できる状態にします。戦略と採用・育成も連動させます。目標が曖昧、現場を無視して机上で決める、立てて振り返らない、の3つがよくある失敗です。

この記事を書いた人

株式会社AnataAI 代表取締役社長 村田欣祥

村田 欣祥

株式会社AnataAI 代表取締役社長。2007年より人材ベンチャー、東証上場企業グループ会社の取締役社長を経て、2023年に株式会社ラクスへ入社。「楽楽精算」等の営業戦略に携わる。累計10年以上の営業組織マネジメントと経営経験を活かし、2026年にAnataAIを創業。

「営業職こそAIを武器に」を掲げ、現場目線の生成AI活用による営業DX・業務改善コンサルティングやAI研修を提供している。

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