営業の効率化に効くAIツールとは?選び方と業務別の使い方

営業の効率化に効くAIツールの記事のイメージ図

結論:営業の効率化は、AIツールを増やすほど進むわけではありません。専用ツールを次々に足すより、自社の環境に合う生成AI(ChatGPT・Gemini・Claudeのいずれか1つ)を選び、日々の営業業務に横断で使い倒すほうが効率化は進みます。これが、専用ツールを足し続けるより現実的な効率化のルートです。

営業の効率化のためにAIツールを探すと、出てくるのは「営業AIツール◯選」という比較記事ばかりです。SFA、名刺管理、議事録ツール、インテント情報と、製品が次々に並び、結局どれを入れればいいのか迷ってしまう。そんな経験を持つ方は多いはずです。

効率化のカギは、ツールの数を増やすことではありません。自社で使える環境に合う生成AIを1つ選び、それを営業の主要な業務に横断で使い倒す。何を基準に1つを選び、どの業務にどう使うかが決まれば、専用ツールを足し続けるより無理なく効率化が進みます。

営業組織のAI活用研修を行っている当社、株式会社AnataAIが、営業の効率化に効くAIツールの選び方と業務別の使い方を整理しました。

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目次

営業の効率化にAIツールはどこが効くのか

結論:AIが効くのは、定型の調べもの・文章化・集計といった、時間を取られる繰り返しの手作業です。見込み客リサーチ、メールやお礼文、提案書のたたき台、商談メモの要約、案件データの集計。この5つに代表される手作業が、効率化の余地が大きい領域です。

営業の一日を振り返ると、相手と向き合う時間より、その前後の準備や事務作業に多くの時間が取られています。生成AIが力を発揮するのは、まさにこの準備や事務の部分です。実際、営業現場でのAI活用は時間の使い方を変えはじめています。HubSpotが営業職を対象に行った調査では、84%が「AIは時間を節約し、業務プロセスを効率化している」と回答しています(出典:HubSpot 2025 State of Sales Report)。

営業で時間を奪う5つの業務

営業の業務のうち、繰り返し発生して時間を奪うものは、おおむね次の5つに整理できます。

  • 見込み客リサーチ:相手企業や担当者の公開情報を集めて、商談の糸口を探す調べもの。
  • メール・お礼文づくり:初回連絡、商談後のお礼、フォローなど、何度も発生する文面の作成。
  • 提案書のたたき台:ヒアリング内容をもとに、提案の骨子や構成を組み立てる作業。
  • 商談メモの要約とネクストアクション整理:商談記録を読み返し、要点と次の一手を書き出す作業。
  • 案件データの集計:パイプラインや受注実績を集計し、傾向を読み取る作業。

どれも成果に直結する商談そのものではなく、その周辺で発生する作業です。だからこそ、ここを生成AIで圧縮できれば、空いた時間を本来の営業活動に回せます。

AIツールが効くのは「繰り返しの手作業」

5つの業務に共通するのは、調べる・書く・まとめる・集計するという、決まった型のある作業だという点です。生成AIは、こうした定型の作業の下ごしらえを数十秒で終えます。一方で、相手の本音を引き出す、価格の落としどころを探る、信頼を積み上げるといった部分は人の領域で、AIが肩代わりするものではありません。効率化の発想は、人にしかできない部分に時間を残すために、繰り返しの手作業をAIに渡すことにあります。だからこそ、専用ツールを何種類も増やすのではなく、1つの生成AIでこの繰り返し作業をまとめて引き受けさせる、という考え方が効いてきます。

AIツールを増やすほど効率化する、は誤解

結論:専用ツールを次々に足すと、効率化どころか管理する手間が増えていきます。ツールごとにログイン先が分かれ、データが分断され、現場はどれをいつ使うのか覚えきれなくなります。せっかく入れたツールが使われずに止まる。ツールの増加が分断・管理コスト・定着失敗の3つを同時に引き起こすのが、効率化が進まない構造的な理由です。

「営業AIツール◯選」の記事は、ツールの数が多いほど価値があるかのように見せます。ですが現場は逆で、ツールが増えるほど効率化は遠のくことがあります。なぜそうなるのかを、分断とコストの面から見ていきます。

営業AIツールを増やすと起きる「分断」と「定着しにくさ」

ツールを増やすと、まずデータが分断されます。見込み客の情報はリサーチツール、商談記録は議事録ツール、案件の数字はSFAと、置き場所がバラバラになり、横断して見たいときに手作業でつなぎ合わせる羽目になります。情報を一元化するために入れたはずのツールが、かえって情報を散らばらせるわけです。

コストの面でも、見えにくい負担が積み上がります。ツールごとに月額の利用料がかかるだけでなく、それぞれの初期設定、アカウント管理、データの扱いの確認といった運用の手間が発生します。1つ増えるたびに、現場が覚えるべき操作も増えていきます。

そして最大の問題が、定着しにくさです。複数のツールを場面ごとに開き分けるには、どの作業でどれを使うかを全員が覚えていなければなりません。営業の現場は日々忙しく、その判断そのものが負担になると、人は結局いつものやり方に戻ります。ツールを入れただけでは現場は変わらず、覚えるツールが増えるほど、定着の壁は高くなります。

専用SaaSと生成AI、どちらが向くか

とはいえ、専用ツールがすべて不要というわけではありません。どちらが向くかは、何を解きたいかで分かれます。下の表で整理します。

 専用の営業ツール生成AI1つ
得意なこと案件管理や数字の蓄積など、決まった機能を組織で回すこと調べる・書く・まとめる・集計するといった、業務をまたぐ手作業
向く組織すでに業務が固まり、その業務専用の仕組みを全社で運用したい組織まず手元の繰り返し作業を幅広く軽くしたい組織
増やしたときの負担種類が増えるほど分断と管理コストが膨らむ1つに集約するため管理点が増えにくい

案件管理の仕組みそのものが必要なら、SFAのような専用ツールは選択肢になります。一方、見込み客リサーチからメール、提案書、集計まで、業務をまたぐ手作業をまとめて軽くしたいなら、種類を増やすより、生成AIを1つ持つほうが効きます。多くの営業現場で時間を奪っているのは後者の手作業なので、まずは1つの生成AIに寄せるところから考えるのが現実的です。

営業を効率化するAIツールの選び方

結論:選ぶ判断は、機能のランキングではなく、自社環境への馴染みやすさで行います。観点は4つあります。今使っているメール・グループウェアとの相性、無料と有料の線引き、商談データの扱い、そして現場が使い続けられるか。製品の優劣を比べるのではなく、この4つの観点で自社に合う1つを絞り込みます。

選ぶ対象は、ChatGPT・Gemini・Claudeのいずれか1つです。機能や性能はどれも大きくは変わらないので、優劣で選ぶより、自社の環境にどれが馴染むかで決めるほうが成果につながります。機能の優劣より環境の馴染みやすさで選ぶ、というのが基本的な考え方です。

営業AIの選び方①:メール・グループウェアとの相性で選ぶ

最初の観点は、今使っている道具との相性です。生成AIは、日々の作業の流れに自然に溶け込むほど使い倒せます。普段使っているメールやグループウェアと同じ提供元のAIは、データの受け渡しや画面の行き来が滑らかになりやすく、現場の負担が小さく済みます。逆に、いつもの作業環境と離れたところに別のツールを置くと、わざわざ開きに行く一手間が定着を妨げます。自社が普段どの環境で仕事をしているかを起点に、馴染みやすいものを選ぶのが、使い続けられる1つを見つける近道です。企業規模別のAI選択の判断は、中小企業のAI選びの記事でも整理しています。

営業AIツールの料金:無料と有料の線引きで選ぶ

2つ目の観点は料金です。無料で始めて十分かを見極める目安は、商談データを安全に扱いたい・チームで使い方をそろえたい・利用量が増えてきた、の3点に当てはまるかどうかです。個人の調べものやメールの下書きなら各社の無料プランで十分まわるので、まずは無料で試し、3点のいずれかに来たら有料への切り替えを検討します。料金プランの選び方の詳細は、ChatGPTの料金プラン比較の記事で解説しています。

営業AIツール選び:商談データの扱いと学習除外を確認する

3つ目の観点は、入力した商談データや顧客情報がどう扱われるかです。有料プランや法人向けプランでは、OpenAI(OpenAI ビジネスデータプライバシー)やGoogle(Google Workspace 生成AI プライバシーハブ)など主要サービスが、入力した内容をモデルの学習に使わないことを既定の設定としています。選ぶ前に各社の公式の方針を自分で確認しておけば、過度に身構える必要はありません。生成AIを1つに寄せておけば、確認すべき設定も1つで済みます。学習除外やデータの安全な扱いの詳細は、無料AIのデータリスクの記事を参照してください。

営業AI定着:現場が使い続けられるかで選ぶ

4つ目の観点は、現場が無理なく使い続けられるかです。どれだけ高機能でも、操作が複雑で覚えることが多ければ、忙しい営業現場では使われなくなります。画面の分かりやすさ、入力のしやすさ、特別な知識がなくても触れること。こうした使い心地は、機能の多さ以上に定着を左右します。導入を決める前に、実際に現場の何人かに無料の範囲で触ってもらい、抵抗なく使えるかを確かめておくと、選び間違いを防げます。

業務フロー別のAIツールの使い方

結論:選んだ生成AI1つで、見込み客リサーチ・メール・提案書・商談メモ・案件データの集計まで、業務ごとに専用ツールを開き分けずにまかなえます。以下のプロンプト例はそのままコピーして使えます。

営業の各業務でAIはどこが効くか

5つの業務それぞれで、生成AIがどこを軽くするかを並べます。いずれも、いま選んだ生成AI1つにそのまま頼める作業です。

  • 見込み客リサーチ:相手企業の公開情報を要約させ、商談の糸口を抽出させると、調べる時間が短く済みます。
  • メール・お礼文:用件と相手との関係を伝えれば、初回連絡やお礼の下書き、フォローまでを数十秒で出してくれます。
  • 提案書のたたき台:ヒアリング内容を渡すと、提案の骨子や見出しの案を組み立ててくれます。
  • 商談メモの要約・ネクストアクション:商談記録を貼ると、要点と次にやることを整理してくれます。
  • 案件データの集計:受注実績やパイプラインの数字を渡すと、傾向や気づきを言葉にしてくれます。

営業AIプロンプト例:案件データの集計と示唆出し

数字の集計は、専用の分析ツールがなくても生成AIで進められます。どの専用ツールでもなく、いま選んだ生成AI1つに、案件データをそのまま貼って指示するだけです。

プロンプト例:「次の案件一覧(受注・失注・金額・業種・商談期間)を分析してください。①受注率が高い業種・低い業種、②受注までの平均商談期間、③失注の傾向、の3点を整理し、来月の営業で優先すべきネクストアクションを3つ挙げてください。」

集計するだけでなく、「ここに伸びしろがある」という示唆まで言葉にしてもらえるのが、生成AIで集計する利点です。出てきた示唆は、自分の現場感と照らし合わせて取捨選択します。表計算ソフトと一緒に使えば、貼り付けと整理の往復も短く済みます。

営業AIプロンプト例:見込み客リサーチ

初回商談の前の下調べも、同じ1つの生成AIに任せられます。相手企業の公開情報を渡し、商談の糸口になる点を抽出させると、準備にかかる時間を圧縮できます。

プロンプト例:「次の会社の公開情報を要約し、初回商談で話の糸口になりそうな点(最近の取り組み・業界の動き・想定される課題)を3つ挙げてください。あわせて、ヒアリングで確認したい質問を3つ提案してください。」

業務別の使い方やプロンプトをもっと詳しく知りたい場合は、営業での生成AIの使い方の記事営業プロンプト集の記事でそれぞれ扱っています。商談記録の取り方は商談記録をAIで作る記事で解説しています。

AIの回答はそのまま使わない

生成AIを業務に使ううえで、ひとつだけ必ず守りたいことがあります。AIの回答をそのまま使わないことです。生成AIは、もっともらしく見えて事実と違う回答を出すことがあります。相手企業の沿革や数値、固有名詞などをリサーチさせたとき、実在しない情報が混じることもあります。商談や提案で使う前に、重要な事実は一次情報で裏取りしてください。AIの回答は完成品ではなく、人が確認して仕上げるたたき台です。この一手間をかけるだけで、生成AIは安心して営業に使える道具になります。

そして、ツールを選び使い方を決めても、現場で続かなければ効率化は進みません。使い続けてもらうための定着の進め方は、営業へのAI定着の記事で解説しています。

営業の効率化に効くAIツールのまとめ

営業の効率化は、AIツールを増やすほど進むものではありません。自社の環境に合う生成AIを1つ選び、業務横断で使い倒すほうが、無理なく効率化が進みます。

  • AIが効くのは、リサーチ・メール・提案書・商談メモ・集計といった、時間を食う繰り返しの手作業
  • 専用ツールを増やすほど、データの分断と管理コストが膨らみ、現場で定着しにくくなる
  • 選ぶ1つは、メール・グループウェアとの相性、無料と有料の線引き、データの扱い、使い続けられるかの4つの観点で絞る
  • 選んだ生成AI1つで、リサーチから集計まで主要業務はひととおりまわる
  • AIの回答はたたき台。事実は一次情報で裏取りしてから使う

当社がAI研修で支援した営業組織の多くは、まず商談メモの要約から使いはじめ、数週間のうちに日々の業務へ無理なく組み込んでいます。当社、株式会社AnataAIは、生成AI活用・浸透を目的とした「生成AI研修」を提供しています。自社に合う生成AIの選び方から、営業の各業務での使い方、現場への定着までを一緒に整えたい場合や、自社のリソースの問題で外部への依頼を検討されている場合は、お気軽にまずはご相談ください。

営業の効率化に効くAIツールのよくある質問

Q1. すでに複数のSFA・営業ツールが入っています。減らすべきですか?

A. いきなり全廃する必要はありません。今あるツールは使いながら、これから新しく足すものを生成AI1つに寄せていくのが現実的です。役割が重なっているツールがあれば見直しの余地はありますが、まずは追加を止めて、空いた工数を1つの生成AIに集約するところから始めると、管理点を増やさずに効率化を進められます。

Q2. 無料のAIツールでも営業の効率化はできますか?

A. できます。ただし無料プランは会話履歴の保存期間や一度に扱える文字量に制限があるケースが多く、長い商談記録を丸ごと貼るような使い方は有料プランのほうがストレスなく動きます。まずは個人の下書きや調べもので体感してから、使用頻度が上がったタイミングで切り替えを検討してください。

Q3. 商談データをAIツールに入れても大丈夫ですか?

A. 有料プランや法人プランでは、OpenAI・Googleなど主要サービスが、入力した内容をモデルの学習に使わないことを既定の設定としています。確認するときは、各社の公式サイトで「プライバシーポリシー」または「法人プラン 学習」で検索すると方針ページに辿り着けます。確認のポイントは、①学習除外がデフォルトか要設定かの別、②対象プランの範囲、の2点です。顧客が特定される機微な情報は必要な範囲に絞って入力するのが安全です。

Q4. AIの回答はそのまま信用してよいですか?誤りはありませんか?

A. そのまま信用するのは避けてください。特に注意が必要なのは、企業の設立年・資本金・代表者名・業績数値・拠点数など、一次情報で変わりうる固有の事実です。一方で業界トレンドや一般論は比較的精度が高く、むしろここはAIを使い倒せます。リサーチで出てきた情報はたたき台として扱い、確認コストが高い固有の事実だけを一次情報で裏取りする、という割り切り方が実務的です。

Q5. AIツールを入れても現場が使ってくれません。どうすれば?

A. よくある失敗は、全員に同時導入しようとするパターンです。まず使い方が固まりやすい1業務(メールの下書きなど)に絞り、成果を実感した担当者が社内で広めていく順番のほうが、定着率は上がります。定着の具体的な進め方は、本文「AIの回答はそのまま使わない」節のあとでも紹介しています。

この記事を書いた人

株式会社AnataAI 代表取締役社長 村田欣祥

村田 欣祥

株式会社AnataAI 代表取締役社長。2007年より人材ベンチャー、東証上場企業グループ会社の取締役社長を経て、2023年に株式会社ラクスへ入社。「楽楽精算」等の営業戦略に携わる。累計10年以上の営業組織マネジメントと経営経験を活かし、2026年にAnataAIを創業。

「営業職こそAIを武器に」を掲げ、現場目線の生成AI活用による営業DX・業務改善コンサルティングやAI研修を提供している。

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