結論:営業の単価アップの打ち手は、4つの方向に整理できます。単価が取れる顧客・案件を選ぶ、値引きと無償対応の漏れを塞いで守る、提案範囲や期間を広げる、価値に見合う値上げを検討して上げる。単価が動く場所はこの4つです。生成AIは価値の言語化と分析を速める道具で、価格を決め顧客に向き合うのは人です。
受注はできているのに、1件あたりの金額が思うように伸びない。値引きで決めることが増えて、数字は立っても利益が薄い。取りやすい安い案件で工数が埋まり、単価の高い提案に手が回らない。営業の現場で、こうした課題を感じている責任者は少なくありません。
単価アップというと、値引きをやめる話だけが思い浮かびがちです。ただ、単価が動く場所はそれだけではありません。どの案件を選ぶか、決めた価格からいくら値引くか、1件に何を乗せるか、そして価格そのものを見直すか。打ち手をこの4つの方向に分けて考えると、自社で次に手をつける場所がはっきりします。
受注はできているのに単価が伸びないとき、向き合うべきは値引きだけではありません。営業組織へのAI活用支援と生成AI研修を手がける当社、株式会社AnataAIの現場感覚で、単価を値引きに頼らず上げる4方向の打ち手と、生成AIでの具体策を扱います。
営業の単価が上がらないのはなぜか
結論:営業の単価が上がらないのには、はっきりした理由があります。取りやすい安い案件から先に埋まること、値引きで決めるクセがつくこと、提案範囲や価格の根拠が足りないこと。この3つが重なると、受注はできても1件あたりの金額は伸びません。自社の単価が妥当かは、他社との相場比較ではなく、提供している価値に対して見ます。
売上を動かす要素は大きく3つ、受注件数・単価・稼働時間です。件数と単価が売上の金額をつくり、稼働時間はこなせる件数を左右します。ここで扱うのは、このうち1件あたりの金額を決める単価です。受注件数そのものを増やすなら受注率を上げる方法、商談に使える時間を増やすなら営業の生産性が別のテーマになります。
単価が下がる構造①:安い案件から先に埋まる
取りやすい案件から先に手をつけるのは自然な動きです。すぐ返事がもらえて、決まりやすい。ただ、そうした案件は金額も小さいことが多く、数をこなすほど工数が埋まります。結果として、金額の大きい提案に時間を割く余裕がなくなり、単価の高い案件ほど後回しになります。忙しく動いているのに1件あたりの金額が上がらないときは、この順番になっていないかを疑います。
単価を削る構造②:値引きで決めるクセ
価格を下げれば決まる、という経験は強い成功体験になります。一度それで決まると、次も同じ場面で値引きを持ち出すようになり、やがて最初から低い価格を提示するクセがつきます。値引きは1件では小さく見えても、積み重なると利益率をまるごと押し下げます。決まった理由が価値ではなく価格になっているほど、この傾向は強まります。
単価が伸びない構造③:提案範囲と価格根拠の不足
相手が口にした最小限の要望だけで提案を組むと、単価はそこで頭打ちになります。本当は関連する課題があっても、提案に入っていなければ金額には乗りません。もう1つが、価格の根拠を語れないことです。なぜこの金額なのかを説明できないと、顧客は「高い」の一言で金額交渉に持ち込みます。範囲の狭さと根拠の弱さは、どちらも単価が伸びなくなる原因です。
単価アップの打ち手は4つの方向に分けられる
結論:この章の要点は、4つの方向をどう組み合わせて使うかです。新規で関係の浅い相手と、既存で信頼のある相手とでは、効く方向が違います。価格で押される局面には、専用の交渉カードがあります。自社の案件がどのタイプかで、まず手をつける方向が決まります。
受注1件の金額は、どの案件を選ぶか、決めた価格をどこまで守れるか、そこに何を乗せるか、そして価格そのものをどう見直すかで決まります。選ぶはそもそも単価が伸びる相手と向き合うこと、守るは値引きや無償対応で価格を削られないようにすること、乗せるは1件に含む中身を増やすこと、上げるは価格そのものを見直すことです。
どこから手をつけるかは、案件のタイプで変わります。新規で関係が浅い相手なら、選ぶと、価格の根拠で守る。既存で信頼のある相手なら、乗せると上げる。価格で押される局面なら、守るの交渉カードが効きます。なかでも日本の企業が手をつけられていないのが、守るの無償対応と、上げるの値上げで、この2つは特に見落とされがちです。
【選ぶ】単価が取れる顧客・案件を選ぶ
単価は、多く取ることだけでなく、金額が伸びる相手を選ぶことでも上がります。これは受注件数を増やす話ではなく、1件あたりの金額を上げる話です。同じ労力をかけるなら、そもそも単価が出やすい顧客や案件に向けたほうが、手元に残る金額は変わります。
ここで有効なのは、業種名を先に並べて狙い撃つことではありません。自社がこれまで高い単価で受注できた案件を振り返り、そこに共通する業種像や課題像を特定して狙いを定めます。過去案件を金額順に並べ、上位に共通する条件を洗い出すのが起点です。
【守る】単価を守る値引き抑制の交渉カード
守るには、漏れ方が2つあります。値引きは価格表から引かれる漏れ、無償対応は価格表に載る前の漏れです。まず値引き側の守り方から整理します。
1つ目は、導入の効果や費用対効果を言葉にして、「高い」を「妥当」に変えることです。根拠は、いつ、どの粒度で出すかで効き方が変わります。見積を後出しにせず、早めに、何にいくらかかり、どんな効果が見込めるかの内訳をセットで示すと、後からの値引き交渉を招きにくくなります。
2つ目は、値引き以外の調整の余地を持っておくことです。提案範囲、契約期間、支払条件、納期。これらを交渉のカードとして用意しておくと、価格を下げずに折り合える場面が増えます。3つ目は、価格だけで比較される土俵に乗らないことです。相見積で横並びに並べられると価格勝負になります。相手の課題に合わせた提案にしておくほど、価格以外の部分で選ばれます。
【守る】単価の漏れを塞ぐ無償対応の見積化
中小のBtoBで、値引きよりも静かに単価を食っているのが無償対応です。仕様の変更、追加の作業、打ち合わせ、サポート、納品後の微修正。こうした作業を見積に載せずタダで引き受ける習慣が、1件の実質的な単価を下げています。値引きは金額として目に見えますが、無償対応は最初から見積に載っていないため、漏れていることにすら気づきません。
対処はシンプルで、いまやっている作業を全部書き出し、見積の項目にすることです。項目に載せたうえで「今回は含めます」と伝えるのと、黙ってタダでやるのとでは、次の交渉での立ち位置がまったく違います。載っていれば、値引きに応じるときの材料としても、追加費用をもらう根拠としても使えます。まずは、自社が無償で引き受けている作業を洗い出すところから始めます。
【乗せる】単価に乗せる提案範囲・契約期間の拡大
乗せるは、1件に含む中身を増やして単価を上げる方向です。型は4つあります。1つ目は上位化で、同じ商材の上位版を勧めるアップセル(上位プランへの引き上げ)です。2つ目は併売で、関連する商材を組み合わせて提案するクロスセル(別商材の追加提案)です。顧客の課題を深掘りし、関連する課題まで提案に含めます。3つ目は数量の拡大で、チームから拠点や部門へ広げます。4つ目は長期化で、単発から複数年契約や年間契約へ切り替えます。
見せ方としては、上位・標準・最小の3つの案を並べて、標準以上を選んでもらう松竹梅の考え方が使えます。価格の決め方ではなく、見せ方の工夫です。価値に納得してもらったうえでの上位化や長期化は、単価と継続性を同時に高めます。
【上げる】値上げを価値に見合って検討する
単価アップの議論で最後まで避けられがちなのが、価格そのものを見直す値上げです。物価も人件費も上がるなかで価格だけを据え置けば、削られるのは商品の品質か、サポートか、社内で働く人のどれかです。値上げを検討しないことは、顧客への価値提供を続けられなくすることと引き換えになっている場合があります。
だからこそ、価値に見合うなら、そして価値提供を続けるためなら、値上げは検討してよい打ち手です。値上げそのものを避けるのではなく、検討の土俵に載せること自体を認めるところから始まります。
実際、値上げは言い出しても簡単には通りません。経済産業省が2026年6月に公表した価格交渉促進月間のフォローアップ調査では、コスト上昇分を価格に転嫁できた割合は54.2%、人件費にあたる労務費では50.0%にとどまっています(出典:経済産業省)。交渉しても半分ほどしか通らない大きな理由は、値上げの根拠を言葉にできていないことです。だからこそ、提供している価値と価格の根拠を整理しておくことが武器になります。
派生として、標準に含めていたものを切り出して値付けする有償オプション化もあります。買い切りから継続課金へといった課金の仕組みそのものの変更は、経営の判断に近いため、選択肢として頭の隅に置いておく程度で十分です。なお、値上げが必ず通るわけではなく、既存の顧客ほど一律の通告には敏感です。長く付き合う顧客には、利用状況や関係の深さを見て個別に価値と併せて切り出します。
単価アップの打ち手を生成AIで実装する
結論:4つの方向は、生成AIで実装できます。ただし、4つすべてに別々のAI作業があるわけではありません。生成AIが効くのは主に5つの場面で、いずれも共通しているのは、自社にあるデータを読ませて言語化・分析させることです。どのデータをどの順で渡すかが中心で、プロンプトはその補助です。出てきた数字や最終的な判断は人が確かめます。
生成AIが効くのは、主に次の5つの場面です。選ぶでは狙う案件像を定めること、乗せるでは提案範囲を広げる材料をつくること、守るでは価格の根拠のたたき台と無償対応の洗い出し、そして単価を守る交渉カードの整理、上げるでは値上げの根拠と顧客への説明のたたき台づくり。どれも、渡すデータとその順番で仕上がりが決まります。自社で使える生成AI(ChatGPT、Gemini、Claude、Copilotのいずれか1つ)があれば始められます。
【選ぶ】過去の高単価案件の共通点をAIで分析する
やることは、過去の案件を金額の高い順に並べ、高単価で決まった案件に共通する特徴を生成AIに言語化させることです。手順は3つです。まず、過去案件を受注金額の高低で並べます。次に、金額の高いグループに共通する業種、抱えていた課題、提案の構成を生成AIに抽出させます。最後に、出てきた共通点をもとに、狙う案件像を決めます。勝ったか負けたかではなく、金額の高低で切るのがポイントです。
次の過去案件のリストを、受注金額の高い順に見てください。金額が上位の案件に共通する、顧客の業種・従業員規模/抱えていた課題/提案に含めた項目を挙げてください。そのうえで、今後狙うべき案件の特徴を3つにまとめてください。〔案件のリスト(顧客・業種・金額・提案内容)を貼り付け〕
返ってくるのは、高い単価で決まった案件に共通する条件の一覧です。ここで見えた特徴が、次に向かうべき顧客像になります。抽出は生成AIが速めますが、その条件が本当に狙う価値のあるものかを決めるのは、案件を知っている人です。
【乗せる】単価に乗せる提案範囲拡大:顧客情報から関連課題を洗い出す
提案範囲を広げる材料も、生成AIで作れます。商談の記録や顧客の公開情報を読ませて、まだ提案に入っていない関連課題の候補を出させます。既存の契約データがあれば、上位版への引き上げや複数年契約に向く顧客の候補を出す使い方もできます。
次の商談記録と顧客情報を読んでください。顧客が今回相談してきた課題に関連していて、まだ提案に含まれていない課題の候補を挙げてください。それぞれについて、自社のどの商材で応えられそうかも添えてください。〔商談記録・顧客の公開情報を貼り付け〕
出てきた候補のなかから、今回の提案に足すものを人が選びます。商談記録の取り方そのものは商談記録の作り方で解説しています。
【守る】価格の根拠と無償対応の洗い出しをAIでつくる
守るの実装は2つです。1つ目は、顧客に見せる効果の試算や価値の言葉のたたき台を生成AIで作り、早めに内訳つきで出せる見積の根拠を用意することです。数字は人が検証する前提で使います。2つ目が、無償でやっている作業の洗い出しです。商談メモ、作業の記録、メールを生成AIに読ませ、見積に載っていないのに実際にやっている作業を列挙させます。タダ働きは本人も気づいていないことが多く、書き出すこと自体に価値があります。
次の商談メモとやり取りの記録を読んでください。この案件で実際に行った作業のうち、見積書の項目に含まれていない可能性が高いものを列挙してください。仕様の変更、追加の打ち合わせ、資料の作り直し、納品後の対応などを見落とさないでください。〔商談メモ・メールを貼り付け〕
出てきた項目を、見積の行にしていきます。まず漏れを目に見える形にし、そのうえで、次の見積からどれを有償項目として立てるか、いくらを付けるかを一つずつ決めていきます。
【守る】単価を守る交渉カードをAIで棚卸しする
価格を下げずに折り合うための交渉カードも、生成AIで棚卸しできます。提案範囲、契約期間、支払条件、納期など、値引き以外で動かせる条件を書き出させ、それぞれ顧客にどう提示するかまで言葉にしておきます。商談の前にカードが手元にそろっていると、値引きを求められても価格以外の選択肢を出せます。
なお、値引き要請そのものへの切り返しをその場で練習したい場合は、生成AIでロールプレイする方法にまとめています。
【上げる】値上げの根拠と顧客への説明をAIで準備する
値上げが通らない、あるいは言い出せない最大の理由は、根拠を言葉にできていないことです。ここも生成AIで準備できます。準備は2つです。1つ目は、根拠の整理です。原価や人件費の上昇、この1年で増えた機能・サポート・成果を書き出させ、値上げの説明に使える形にまとめます。2つ目は、顧客への説明のたたき台づくりです。値上げの背景、提供している価値、今後の約束を、顧客ごとの利用状況や関係の深さに合わせた説明の下書きにします。
当社の商品の値上げを検討しています。次の情報をもとに、顧客に説明するための根拠を整理してください。過去1年で増えた機能・サポート・成果/原価や人件費の変化/顧客が受け取っている価値。そのうえで、値上げの説明に使えるポイントを3つにまとめてください。〔商品情報・提供価値・コストの変化を貼り付け〕
全員に同じ通知文を配るのではなく、顧客ごとに価値を語る準備が主役です。出てきた説明の下書きを、利用状況や関係の深さに合わせて相手ごとに調整し、値上げ幅と伝える順番を決めてから商談に臨みます。
単価アップで顧客が離れないために
結論:4つのどの方向で単価を上げる場合も、顧客が離れるかどうかの分かれ目は、価値の合意が先にあるかどうかです。価値に納得してもらう前に価格だけを通そうとすると、信頼が削れます。既存の顧客への値上げや単価水準の変更を、一律に機械的に通告するのも解約につながります。単価と継続率は、いつも一緒に見ます。
単価交渉の前に価値提示を先にする
実務では、価格を出す前に3つを終えておきます。1つ目は、相手が解決したい課題と、それを放置したときのコストをすり合わせること。2つ目は、自社の提案がそのコストをどれだけ下げるかを、相手の言葉で確認すること。3つ目は、その価値に相手が納得したサインを得てから、はじめて金額を提示すること。この順番を守れれば、同じ金額でも「高い」ではなく「妥当」として受け取られます。値上げの場面でも、増えた価値の確認を先に済ませてから新しい価格を出すと、信頼を保てます。
値上げや単価水準の変更を既存顧客へ一律通告しない
新規で通した高い単価水準や価格の改定を、すべての既存顧客へ一律に、機械的に広げるのは危険です。長く付き合っている顧客ほど、通告だけの値上げには敏感に反応します。顧客ごとに利用状況、関係の深さ、これまで提供してきた価値を見て、個別に価値と併せて見直します。値上げそのものを否定しているのではなく、進め方の問題です。
単価と継続率を一緒に見る
価値の合意がないまま単価だけを上げると、継続率が下がることがあります。逆に、価値に納得してもらったうえでの上位化や長期化は、単価と継続を両立させます。違いは、価値の合意があるかどうかです。単価を上げる施策を打つときは、必ず継続率を並べて確認します。単価が上がっても解約が増えていれば、その上げ方は価値の合意を飛ばしていた可能性があります。
単価アップの型を組織で再現する
結論:単価アップの打ち手は、1人の成果で終わらせず組織の型にすると、単価が安定します。ここで型にするのは、高い単価で決まった案件に共通する提案の構成や見積の出し方といった、高単価の案件ならではの型です。生成AIで引き出した型を共有して標準にし、研修で組織に定着させます。
高単価案件に共通する型を共有して標準にする
高単価案件をAIで分析する章で言語化した型を、今度は組織で共有し、標準にします。引き出すのが個人の作業だとすれば、共有して誰でも使える形にするのは組織の作業です。ここで扱うのは、高い単価で決まった案件に共通する提案の構成や、見積の出し方といった、高単価の案件ならではの型に絞ります。営業全体の属人化をどう仕組みに変えるかという広い話は、営業組織の強化の記事で解説しています。
単価アップの型を研修で組織に定着させる
共有した型と生成AIの使い方は、研修の形で営業組織に定着させると続きます。一度配って終わりではなく、実際の案件でどう使うかまで練習すると、単価アップの打ち手が個人のスキル任せにならずに回り始めます。外部の力を借りる場合の進め方は、営業向けAI研修にまとめています。
営業の単価アップのまとめ
- 単価アップの打ち手は、選ぶ・守る・乗せる・上げるの4つの方向に分けられる
- 選ぶは、過去の高単価案件に共通する特徴から、単価が取れる顧客・案件を定める
- 守るは、値引きと無償対応の2つの漏れを塞ぐ。無償対応は見積に載せて可視化する
- 乗せるは、上位化・併売・数量拡大・長期化で1件の中身を増やす
- 上げるは、価値に見合う値上げを検討の土俵に載せ、根拠を言葉にして通す
- 生成AIの出番は、狙う案件像の抽出・提案範囲の洗い出し・無償対応のリスト化・値上げ根拠の整理といった下ごしらえを速めること
当社、株式会社AnataAIは、生成AIの活用・浸透を目的とした営業向けの生成AI研修と、営業組織へのAI導入の支援を提供しています。単価アップの打ち手を自社の営業に定着させたい、何から手をつけるか相談したいという場合は、お気軽にまずはご相談ください。
営業の単価アップに関するよくある質問
Q1. 営業の単価アップに一番効く打ち手は何ですか?
A. まずは守るからです。値引きと無償対応の漏れを止めるのが、いちばん早く効きます。特に無償対応は、見積に載せていないぶん気づかれにくく、そのぶん取り戻せる余地が大きい部分です。選ぶ、乗せる、上げるは、相手や関係が整ってから効いてきます。自社でどの漏れが大きいかを見てから、順番を決めてください。
Q2. 値引きせずに単価を上げると、顧客は離れませんか?
A. 伝える中身を具体的にすると、離れにくくなります。「品質が高い」ではなく、導入で何がどれだけ変わったか、たとえば削減できた時間、増えた成果、減ったミスを、数字や事例で示します。もし価格に反発されたら、値引きの即答は避け、範囲・期間・支払条件など価格以外のカードで折り合えないかをまず探ります。それでも合わないときは、下げる代わりに提供範囲も一緒に絞り、単価と中身の釣り合いを保ちます。
Q3. 生成AIを使えば単価は自動で上がりますか?
A. 自動では上がりません。単価は、相手が価値に納得するかどうかで決まり、その合意を取るのは対面の交渉だからです。生成AIは下ごしらえ、たとえば高単価案件の共通点抽出や値上げ根拠の整理を速めます。一方で、どの顧客にいくらで提示するか、反発にどう応じるか、相手の関係の深さを踏まえてどこまで踏み込むかといった局面は、人が判断します。
Q4. 単価アップと受注率アップはどちらを先に取り組むべきですか?
A. 自社の詰まりで決めます。受注件数は足りているのに1件の金額が伸びないなら単価から、そもそも受注数が足りないなら受注率からです。単価アップは1件あたりの利益に直接効くため、件数がある程度取れている組織では効果が見えやすい打ち手です。受注件数を増やす受注率の改善は、単価アップとは別の打ち手として切り分けて考えます。
Q5. 中小企業でも単価アップの仕組みは作れますか?
A. 作れます。むしろ人数が少ないほど、1件あたりの単価が全体に効きます。特別なツールは必要なく、過去の案件リストと商談のメモ、いま使える生成AIが1つあれば始められます。まず高い単価で決まった案件を数件振り返り、共通点を言葉にするところからで十分です。30名から1,000名規模の組織まで、最初の一歩は変わりません。
この記事を書いた人

村田 欣祥
株式会社AnataAI 代表取締役社長。2007年より人材ベンチャー、東証上場企業グループ会社の取締役社長を経て、2023年に株式会社ラクスへ入社。「楽楽精算」等の営業戦略に携わる。累計10年以上の営業組織マネジメントと経営経験を活かし、2026年にAnataAIを創業。
「営業職こそAIを武器に」を掲げ、現場目線の生成AI活用による営業DX・業務改善コンサルティングやAI研修を提供している。


