結論:中堅社員研修でいま扱うべきテーマは、生成AIの活用です。中堅社員は、会社のなかで現場の実務を実際に回している層です。経営層や管理職がAIを使うと決めても、この層の仕事の進め方が変わらない限り、現場で起きていることは変わりません。そして中堅社員は、研修の対象としては最も後回しになりやすい層でもあります。
新入社員研修と管理職研修はあるのに、中堅社員だけ研修の予定が入っていない。人事の年間計画を見て、そう気づいたことはないでしょうか。新しく入ってくる人には教える中身が決まっていて、昇進した人には節目の研修がある。ところが、その間にいる5年目から15年目の層には、きっかけになる出来事がありません。
この層は、いま現場を実際に回している人たちです。自分の数字を持ちながら後輩の面倒も見て、上の方針を現場に落とす役回りをしています。それだけの仕事をこなしているぶん、自分のやり方を見直す時間はほとんどありません。何年も学び直す機会がないまま過ぎているのは、本人が変化を嫌っているからではなく、変える理由と時間がまだ用意されていないからです。
営業組織のAI活用研修を行っている当社、株式会社AnataAIが、いまの中堅社員研修で何を扱うべきかを整理しました。
中堅社員研修が後回しになりやすい理由
結論:中堅社員研修が後回しになるのは、優先度を下げる判断が毎年重なった結果です。新入社員研修と管理職研修には入社と昇進というきっかけがあり、年間計画に先に載ります。中堅社員には同じきっかけがなく、もう一人前だからと対象から外れます。伸び悩んで見えるのも、意欲ではなく抱えている仕事の量が原因です。
年間計画を作る場面を思い浮かべると、順番の理由が見えてきます。最初に枠が埋まるのは、日付が決まっているものです。4月に入ってくる新入社員、登用が決まった管理職、法令で必要な研修。ここまで置いた時点で、日程も予算の残りも見えてきます。中堅社員研修は、その残りをどう使うかという議論の中に置かれ、「今期は現場が忙しいので次の期に」で外れます。次の期も同じ順番で枠が埋まるため、外れた状態が続きます。
入社5〜15年目は「もう一人前」と見なされる
中堅社員は企業規模によりますが、一般に入社5年目から15年目あたりの社員を指します。自分の数字や担当を持ち、後輩の面倒を見て、上の方針を現場に落とす。この3つを同時に担っているのが実際の姿です。年次で厳密に線を引く必要はなく、社員数の少ない会社では3年目でこの役回りになりますし、人数の多い会社では10年目でもまだ自分の担当業務に専念していることがあります。
この層に共通しているのは、会社から「もう一人前」として扱われていることです。仕事は回っていて、聞かれれば答えられて、任せた案件は最後まで持っていく。育成の必要性を判断する側から見ると、手のかからない層に見えます。研修の対象を決めるときに、真っ先に外れるのはここです。
ただ、手がかからないことと、成長が続いていることは別です。中堅社員が最後にまとまった研修を受けたのは、多くの場合、入社時か3年目のフォロー研修です。そこから先の年数を、現場での経験だけで埋めてきた層だと考えると、状況が見えやすくなります。
研修の計画は新入社員と管理職から埋まる
階層別研修の実施状況を見ると、この差ははっきり出ています。階層別研修の実施率は、管理職研修が53%だったのに対し、中堅社員研修は39%でした(出典:ProFuture株式会社/HR総研「人材育成に関するアンケート調査(階層別研修)」/2020年8月から9月に実施・有効回答246件)。2020年の調査ですが、新入社員と管理職が先に手当てされ、その間の層が後になるという順番自体は、いまの年間計画でもよく見かけます。
順番がこうなるのには理由があります。入社と昇進には日付があり、そこに合わせて研修を組めば計画が立ちます。新入社員に何を教えるかは新入社員研修の設計として整理されていますし、管理職には登用のタイミングという節目があります。中堅社員には、その日付がありません。いつやるかを決めるところから始めなければならず、他に急ぎの案件があれば翌年に回ります。
中堅社員は、部下の評価に責任を持たず、自分で数字や担当を持っている層を指します。すでに部下の評価に責任を持つ立場の方については、管理職研修で扱っています。新入社員との違いもはっきりしていて、中堅社員はすでに自分の仕事の進め方を持っています。教える中身を考えるときは、この違いが起点になります。
伸び悩みの原因は意欲ではなく仕事の量にある
中堅社員の課題として最初に挙がるのは、たいてい「伸び悩み」や「モチベーションの低下」です。ただ、実際に現場で起きていることを分解すると、本人の意欲より先に業務量の問題が出てきます。自分の担当を持ち、後輩から質問を受け、上からは現場の実情を聞かれる。この3方向からの依頼が同じ時間帯に来ます。
結果として、中堅社員の1日は自分の案件と他人の案件の切り替えで埋まります。新しいやり方を試す時間は、優先度の一番下に置かれます。学ぶ気がないのではなく、学ぶための余白が業務量に押し出されている状態です。この点をそのままにして意識づけの研修を入れても、現場に戻れば同じ1日が待っています。
中堅社員に今起きている変化
結論:中堅社員はプレイヤーとしての完成度が高く、いまのやり方で十分な成果を出しています。そのやり方は、変える理由が示されないまま何年も続きます。一方で、これから下に入ってくる若手は、学生時代から生成AIに触れた状態で配属されてきます。教える側と教わる側の前提が、少しずつ違う方向を向き始めています。
プレイヤーとしての完成度は高い
中堅社員は、担当業務を一人で完結させられます。案件の見通しが立ち、どこで手戻りが起きるかも読めます。トラブルが起きたときに誰に話を通せば早いかも分かっています。この完成度の高さは、何年もかけて現場で積み上げたものです。
会社にとっては、この層が一番の戦力です。数字の見込みを立てるときも、急な案件を差し込むときも、まずこの層に相談が行きます。中堅社員研修を考えるときに忘れてはいけないのは、この層はすでに成果を出しているという前提です。何かができていないから教える、という組み立てにすると、受講者は納得しません。
成果を出してきたやり方を見直す機会がない
やり方が見直されないのは、本人の資質の問題ではありません。成果が出ているやり方を変える理由が、これまで示されてこなかった結果です。うまくいっている手順を、忙しい合間に自分から作り替える人はほとんどいません。前の章で見たとおり、そのための時間も業務量に押し出されています。
実際の中身を見ると、資料の作り方も、顧客への連絡の組み立ても、社内への報告のまとめ方も、5年前とほとんど同じ手順で回っていることが珍しくありません。しかも、その手順はうまくできています。だからこそ変える必要を感じません。ここが、中堅社員研修で扱うテーマを決めるときの分かれ目になります。手順そのものを否定するのではなく、その手順を保ったまま処理を速くする方法があるかどうかです。
AIに触れた状態の若手が下に入ってくる
個人が生成AIを使った経験は、世代によって差があります。総務省の調査では、生成AIを使ったことのある人の割合は全体で58.8%、20代では78.2%でした。前年度の調査では全体26.7%だったため、この1年で大きく上がっています(出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」/2025年度調査)。この数字は個人としての利用経験で、私的な利用も含みます。業務で使っている割合でも、企業が導入している割合でもありません。
ここから言えるのは、これから配属されてくる層は、生成AIに触れた状態で入ってくるということです。分からないことを調べるとき、文章の下書きを作るとき、まずAIに聞いてみるという動作が、学生時代からの習慣として身についている人が一定数います。
その若手が最初に配属されるのは、中堅社員の下です。指導役として日々の仕事を教えるのは中堅社員であり、その中堅社員が触ったことのない道具については、教えることも、使っていいかを判断することもできません。若手が自己流で使い始めるか、使うのをやめるかは、指導役の状態に左右されます。
中堅社員研修で扱うテーマにAI活用をすすめる理由
結論:中堅社員は抱えている仕事が最も多いため、AIに渡したときに空く時間が一番大きくなります。自分なりの進め方を持っている分、AIに渡せる素材も多く持っています。汎用スキルは新入社員のころに一度学んでいて、効果が出るまでの距離も遠い。いま一つ選ぶなら、AI活用が先に来ます。
中堅社員研修のテーマとしてよく選ばれるのは、ロジカルシンキング、問題解決、コミュニケーション、ファシリテーション、後輩指導、キャリアの考え方あたりです。どれも中堅社員に必要な内容で、実施すること自体に問題はありません。ただ、年に1回か2回しか研修の枠を取れない会社がほとんどです。その枠を今どれに使うかという問いにすると、答えは変わります。いまの中堅社員に一つ選ぶなら、生成AIの活用です。理由は4つあります。
抱えている仕事が多いほど、空く時間も大きい
1つ目は、業務量です。中堅社員は社内で最も多くの仕事を抱えています。自分の担当、後輩からの相談、上への報告、それに部署をまたぐ調整が加わります。同じ研修を新入社員に実施した場合と比べると、渡せる業務の数がそもそも違います。
そして、抱えている仕事のうち一定量は、判断より作業に近いものです。週次の報告をまとめる、過去のやりとりから経緯を拾い直す、決まった形式の書類を毎回作り直す。この種類の作業は、中堅社員の1日のなかで確実に時間を取っています。ここが軽くなったときに空く時間は、他のどの階層より大きくなります。
業務量の多さは、これまで研修を入れられない理由として扱われてきました。AI活用をテーマにする場合、同じ業務量が最大の理由に変わります。
中堅社員は自分の進め方を持つ分、AIに渡せる素材が多い
2つ目は、素材の多さです。生成AIから使える答えを引き出すには、何をどういう条件で作ってほしいかを具体的に伝える必要があります。ここでものを言うのが、その業務を何度もやってきた経験です。
中堅社員は、自分の担当業務をどの順番で進めるか、どこで例外が起きるか、そのときに何を見て可否を決めるかを、頭の中に持っています。それは説明されていないだけで、確実に存在します。この中身をそのまま指示にすれば、一般的な答えではなく、自社の実務に合った下書きが返ってきます。
新入社員が同じことをしようとしても、渡せる素材がまだありません。生成AIが出したものが自社の実務に合っているかどうかを判断する材料も持っていません。中堅社員は、素材と判断力の両方を持っている層です。
汎用スキルの学び直しより先に取り組む価値がある
3つ目は、優先順位です。ロジカルシンキングやファシリテーションが不要だという話ではありません。順番の話です。
理由は3点あります。1点目は、この種の汎用スキルは新入社員のころに一度学んでいることが多く、中堅社員にとっては学び直しになる点です。2点目は、身についたかどうかが分かるまでの距離が遠く、半年後に何が変わったかを説明しづらい点です。3点目は、AI活用は今日の業務がそのまま題材になる点です。研修に持ち込むのは自分が明日もやる仕事なので、受講した日から使えるかどうかが分かります。
効果の見方も簡単です。受講後に、各自が実際にAIへ渡した業務が一つでも残っているかを見れば足ります。残っていなければ、研修の場では成立していても現場では動いていません。
実務を担う中堅社員が変わらないと現場は動かない
4つ目は、現場への波及です。経営層や管理職がAI活用の方針を決めても、実際の仕事の手順を持っているのは中堅社員です。日々の資料も、顧客への連絡も、社内の報告も、この層の手を通って形になります。
具体的に言うと、中堅社員は例外処理と判断基準を持っています。この案件はいつもの手順から外れる、この条件のときは上に確認する、この相手にはこの順番で話す。そうした中身は、そのままAIへの指示の中身になります。逆に言えば、この中身が言葉になっていない限り、AIに渡せる業務は限られたままです。
ここが変わらない限り、他の階層を変えても現場の仕事の進め方は動きません。中堅社員が変われば組織が変わる、という話ではありません。ただ、ここを飛ばして進めることはできない、という順番の問題です。
中堅社員のAI活用研修で教える中身
結論:教える中身は3つです。自分の業務のうち何をAIに渡せるかを見極めること、自分の仕事の進め方を言葉にしてAIへの指示にすること、そして自分の使い方を後輩に説明できる状態にすることです。いずれも受講者自身の担当業務を題材にするため、研修が終わった時点で使えるものが手元に残ります。
ここで想定しているのは、自分の仕事の進め方を持っている職種です。営業、企画、管理部門のいずれも当てはまります。担当業務の中身は違っても、進め方を言葉にして指示にするという流れは変わりません。
自分の業務のうちAIに渡せるものを見極める
最初にやるのは、自分の1週間の業務を書き出して、渡せるものと渡せないものを分ける作業です。基準は難しくありません。同じ形式で何度も発生するか、判断より手を動かす時間のほうが長いか、この2つを見ます。
たとえば、週次の商談報告をまとめる作業は前者です。書く内容は毎回違いますが、形式と観点は同じで、材料も自分の手元にあります。見積の前提を整理して社内に共有する作業も同じです。一方で、顧客との条件交渉や、部下の評価に関わる判断は渡せません。この線引きを自分の業務で引けるようになるところまでが、この段階の目的です。
日々の作業は塊で認識されているため、分解して初めて渡せる部分が見えます。
自分の進め方を言葉にしてAIへの指示にする
次が、この研修の中心です。渡す業務を決めたら、その業務を自分がどう進めているかを言葉にします。ここで使うのが、次のような問いです。
- 自分はどの順番で判断しているか
- 例外はどこで発生し、何を見て可否を決めているか
- 後輩に説明するとき、最初に何を言うか
- 出てきたものを見て、どこがおかしいと気づくか
この4つに答えられれば、指示はほぼ書けます。実際の指示は、次のような形になります。
私は〔業務名〕を次の順番で進めています。〔手順を箇条書きで〕。例外は〔例外が起きる条件〕のときに発生し、そのときは〔判断の基準〕で決めています。この進め方のとおりに、今回の〔対象〕の下書きを作ってください。判断に迷う箇所は、自分で決めずに質問してください。
多くの人が「AIの答えが浅い」と感じるのは、この手順と例外の部分を伝えていないためです。自分の中では当たり前になっている条件ほど、書かれずに落ちます。研修では、この落ちている部分を問いで引き出し、その場で指示に組み込みます。営業組織の場合は、こうして整理した進め方を業務ごとの仕組みに落とすところまでをカスタムAI構築研修で扱っています。
自分の使い方を後輩に説明できる状態にする
3つ目は、自分が書いた指示を口頭で説明する演習です。何をAIに任せたのか、どういう条件を書いたのか、出てきたものをどう直したのかを、その場で他の受講者に話します。
説明しようとすると、自分でも曖昧だった箇所がはっきりします。なんとなく書いた条件は説明できず、逆に、きちんと言語化できた部分は他の人が真似できます。中堅社員は後輩の指導役でもあるため、この「説明できる状態」までを研修の中に入れておくと、現場に戻ってからの動きが変わります。組織としての進め方はAI定着・社内展開研修で扱っています。
中堅社員研修でつまずきやすい点
結論:研修を受けただけでは中堅社員は変わりません。すでに成果を出している層ほど、変える理由が自分の中に用意されていないためです。もう一つは時間の問題で、中堅社員は自分の裁量で時間を作れる立場である一方、プレイヤーとしての業務が最も重い層でもあります。この2点は研修の設計側で先に手を打っておく必要があります。
研修を受けただけでは中堅社員は変わらない
中堅社員は、いまのやり方で成果を出しています。だからこそ、研修で新しい進め方を知っても、現場に戻れば慣れたやり方に戻ります。ここを動かすには、本人にとって何が変わるのかが示されている必要があります。
示し方は2つあります。一つは、担当業務のうち時間を取られている作業が実際に軽くなる体験です。もう一つは、AIを使える中堅社員は社内で任せられる仕事の幅が広がるという見通しです。本人の意思と、業務の中で試す時間。この2つがそろわない限り、研修の内容は現場に残りません。
時間を作れる立場だが、実務が最も重い
中堅社員は、新入社員と違って自分の予定をある程度は自分で決められます。この点だけ見れば、新しいやり方を試す時間は作れる立場です。
ところが、この層はプレイヤーとしての業務が最も重い層でもあります。裁量はあるのに、その裁量で空けた時間に別の案件が入ってきます。上からは現場の数字を求められ、下からは判断を求められる。この板挟みが、中堅社員特有のボトルネックです。研修を実施する側は、受講後に業務で試す時間をどう確保するかを、実施日を決める段階で一緒に決めておく必要があります。時間の確保も含めた定着の進め方はAIが現場で使われない理由と定着で扱っています。
中堅社員が変わったとき、組織のどこに伝わるか
結論:本人の意思と、業務の中で試す時間。この2つが満たされた場合、中堅社員のやり方は上長にも他部署にも伝わっていきます。実務を回している層のやり方が、そのまま現場の標準になるためです。始め方は簡単で、中堅社員が日常でいちばん時間を使っている1業務から入ります。
そのやり方は上長にも他部署にも伝わる
中堅社員が資料の作り方や報告のまとめ方を変えると、最初に気づくのは上長です。提出物が早くなり、内容の粒度がそろってくるためです。上長側から「どうやって作っているのか」と聞かれる形で、進め方が上に伝わります。
他部署への伝わり方も似ています。中堅社員は部署をまたぐ調整の窓口になることが多く、他部署の同じ立場の人と日常的にやりとりしています。共有された資料の形式や、依頼のときの情報の渡し方が変わると、受け取った側がそのまま真似します。制度として決めなくても、実務で接している範囲には伝わります。
時間が経つと、この層のやり方が現場の標準になっていきます。中堅社員は現場で最も参照される立場なので、伝わる速さも範囲も、他の階層から始めた場合とは変わります。
中堅社員のAI活用研修は1つの業務から始める
始めるときは、中堅社員が日常でいちばん時間を使っている1業務に絞ります。週次の報告でも、見積の前提整理でも、顧客への定型連絡でも構いません。条件は、毎週発生していて、本人が「面倒だ」と感じている業務であることです。
進め方は3つ決めておきます。1つ目は対象の選び方で、最初は1つの部署から、同じ業務を担当している5人前後で始めます。題材が近いほど、お互いの指示の書き方が参考になります。2つ目は期間の取り方で、1回で終わらせず、研修と研修の間に実際の業務で試す期間を2〜4週間はさみます。使ってみて分かることのほうが多いためです。3つ目は年間計画への置き方で、新入社員研修が落ち着く時期か、期の切り替え直後に置くと、業務の山と重なりにくくなります。
使う生成AIは1つに決めておきます。自社の環境に合う生成AI(ChatGPT、Gemini、Claude、Copilotのいずれか1つ)を選び、それを研修でも業務でも使い倒す形にします。研修会社や講座の選び方はAI研修の選び方で解説しています。その1業務から始める入口としては、営業AI活用の基礎編のような、担当業務を持ち込んで進める形の講座が合います。
中堅社員研修は何をやるべきかのまとめ
- 中堅社員はおおむね入社5年目から15年目、自分の数字を持ちながら後輩を見て、上と現場をつなぐ層。一人前と見なされて研修の対象から外れやすい
- 階層別研修の実施率は管理職53%に対し中堅社員39%(出典:ProFuture株式会社/HR総研「人材育成に関するアンケート調査(階層別研修)」/2020年調査)。入社と昇進というきっかけがない分、年間計画で後回しになる
- 伸び悩んで見える原因は意欲ではなく業務量。自分の担当、後輩の相談、上への報告が同じ時間帯に来る
- いま研修のテーマを一つ選ぶならAI活用。抱えている仕事が最も多く、自分なりの進め方という素材も持っているため、渡せる業務が一番多い
- 教える中身は3つ。渡せる業務の見極め、自分の進め方を言葉にして指示にすること、その使い方を後輩に説明できる状態にすること
- 始め方は、いちばん時間を使っている1業務から。同じ業務を担当する5人前後で始め、業務で試す期間を2〜4週間はさむ
当社、株式会社AnataAIは、生成AIの活用・浸透を目的とした「AI活用研修」を提供しています。中堅社員研修で何を扱うか決めきれない、社内に教えられる人がいないといった状況で外部への依頼を検討されている場合は、お気軽にまずはご相談ください。
中堅社員研修に関するよくある質問
Q1. 何年目からが中堅社員ですか?
A. 年次で線を引くより、いまの役回りで判断するほうが外しません。年次だけで対象を決めると、入社年次は浅くても後輩の指導と上への報告をすでに担っている人が抜けます。逆に、年次は足りていても自分の担当業務だけに専念している人が入り、研修に持ち込む題材がそろわなくなります。社内で選ぶときは、自分の数字や担当を持っているか、後輩から仕事の相談を受けているか、上の方針を現場に落とす役割を任されているか、の3点で見てください。3つのうち2つに当てはまる人を集めると、実務に沿った題材が集まります。
Q2. AI活用を扱う研修と、一般的なAIツールの操作説明は何が違いますか?
A. 違います。操作説明は画面の使い方を覚える場で、終わったあとに「便利そうだった」で止まりやすいのが実際のところです。中堅社員向けのAI活用研修は、受講者が自分の業務を持ち込み、そのうちどれをAIに任せられるかを選び、自分の進め方を指示の言葉にするところまでを扱います。中堅社員は自分の担当業務と手順を持っているため、この形が成立しやすい層です。分かれ目は、道具の使い方を覚えて帰るのか、自分の業務に組み込んだ状態で帰るのかです。
Q3. 中堅社員がAIの活用に乗り気でない場合はどうすればいいですか?
A. 意識を変えようとするより、本人にとって何が変わるかを先に示すのが近道です。いまのやり方で成果が出ている人ほど、変える理由が自分の中に用意されていません。最初にかける一言は「これからはAIを使ってほしい」ではなく「いま一番面倒だと感じている作業はどれですか」です。本人が自分の口で挙げた作業をそのまま題材にすれば、押しつけになりません。題材を選ぶ基準は、本人の裁量だけで試せること、上長の承認や他部署との調整を待たずに1回まわせることの2つです。ここを外すと、やる気の問題ではなく段取りの問題で止まります。
Q4. 中堅社員が20人いる場合、全員に一度に受けさせるべきですか?
A. おすすめしません。最初は5人前後、同じ部署か同じ業務を担当している人でそろえるほうが進みます。同じ業務の人が集まると、持ち込む題材が近くなり、お互いの指示の書き方がそのまま参考になるためです。その5人が実際の業務でAIを使う状態になってから、次の部署へ広げます。20人を一度に集めると、業務がばらけて題材が合わず、研修の場では成立しても現場に戻ったあとが続きません。
Q5. AIをすでに触っている中堅社員と、まったく触っていない中堅社員が混在していても成立しますか?
A. 成立します。中堅社員向けの研修で扱うのは操作の習熟ではなく、自分の業務の手順を言葉にして指示にすることだからです。触ったことがない人でも、自分の仕事の進め方は誰よりも詳しく説明できます。むしろ、すでに触っている人が「思ったような答えが返ってこない」と感じている理由も同じところにあるため、題材は共通で組めます。ただし、会社として使う生成AIが決まっていないと、当日に環境の話で止まります。どれを使うかは事前に一つ決めておいてください。
この記事を書いた人

村田 欣祥
株式会社AnataAI 代表取締役社長。2007年より人材ベンチャー、東証上場企業グループ会社の取締役社長を経て、2023年に株式会社ラクスへ入社。「楽楽精算」等の営業戦略に携わる。累計10年以上の営業組織マネジメントと経営経験を活かし、2026年にAnataAIを創業。
「営業職こそAIを武器に」を掲げ、現場目線の生成AI活用による営業DX・業務改善コンサルティングやAI研修を提供している。


