結論:デジタル人材には種類があり、どちらを育てるかで進め方も期間も変わります。予算と人手が限られる中小企業がまず動かせるのは、いまいる社員が業務で使いこなせるようになるほうです。専門人材に手を出すかどうかは、そのあとで決めて間に合います。
デジタル人材を育ててほしい、と言われて動き出すとき、最初に困るのは誰を対象にするかです。求人を出しても応募が来ない、来ても条件が合わない。そんな経験をした会社もあるはずです。
デジタル人材という言葉には幅があります。システムを設計する人を思い浮かべる人もいれば、社内システムを業務で使いこなす社員を挙げる人もいます。同じ言葉で違う人材像を指したまま話が進むと、採用の話と育成の話が混ざり、何から手を付けるかが決まりません。育成の中身として何をどの順で学ばせるかは、DX研修の全体像とAI研修との関係もあわせてご覧ください。
順番を決めれば動けます。専門人材を確保する話と、いまいる社員が業務で使えるようになる話を分け、中小企業は後者から始めます。
生成AI研修を行っている当社、株式会社AnataAIが、デジタル人材育成の進め方を整理しました。
デジタル人材の育成が課題になっている背景
結論:DXを進める人材が足りない、という回答は調査でも多数を占めます。育成の施策をとくに行っていないと答えた日本の会社も3社に1社以上あります。動き出せない理由は、意識ではなく人材像の側にあります。
デジタル人材が足りていないと答える会社が多い
2026年4月から6月に日本企業1,799社を対象に行われた調査では、DXを推進する人材の量について「やや不足している」「大幅に不足している」と答えた企業が合計で85.5%でした。出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2026」54ページ(PDF)。これは企業に聞いた回答の割合で、不足人数を数えた値ではありません。
人を採る側の打ち手そのものは、人手不足の記事で解説しています。
デジタル人材の育成に手が回っていない
2025年2月から3月に日本・米国・ドイツの企業を対象に行われた前年の調査では、DXを推進する人材の育成のための施策について「とくに支援をしていない」と答えた日本企業は36.6%でした。米国企業は1.0%、ドイツ企業は1.9%です。出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「調査分析ディスカッション・ペーパー2025-02 AI時代のデジタル人材育成」3ページ(PDF)。
手を打っていない理由は、意識の低さではありません。目の前の業務が優先されますし、誰に何を学ばせるかが決まらないまま予算も組めません。
決まらない理由は、たいてい人材像にあります。それぞれが違うデジタル人材を思い浮かべたまま話しているので、必要な人数も学ばせる中身も合意にたどり着きません。
デジタル人材育成では2つの人材を分けて考える
結論:デジタル人材は、仕組みをつくる専門人材と、業務で使いこなす社員に分かれます。自社に足りないのがどちらかは、いま止まっている仕事がつくる側か使う側かで見分けられます。国の標準も2本立てですが、職種名のままでは中小企業には当てはまりません。
デジタル人材のどちらが自社に足りていないかの見分け方
仕組みを設計してつくる側が専門人材で、できた仕組みや市販の道具を自分の業務で使いこなす側が一般の社員です。この2つの分け方と、採用・外注も含めて社内にデジタルの力を持つ手段をどう組み合わせるかは、AI人材の記事で詳しく扱っています。DX人材という言い方をしても、指すのはこの2つのどちらかです。
どちらが足りていないかは、いま止まっている仕事を見ると分かります。顧客ごとの実績を集計したいのに、集計できる形でデータが残っていない。これはつくる側です。仕組みは入っているのに入力されないまま誰も見ていない。こちらは使う側です。
国の整理でも、全てのビジネスパーソンが身につけるべきスキルの標準と、DXを推進する人材が習得すべきスキルの標準は分けて示されています。策定・公表元は経済産業省とIPAです。出典:経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「デジタルスキル標準」。
ただし、標準は職種の名前で書かれています。中小企業には同じ名前の職種がないことがほとんどです。並んでいる役割を自社の部署名と担当業務名に置き換え、その仕事をいま誰がやっているかを書き出します。付け替えても担当者が出てこない役割が、足りていない側です。
デジタル人材として使いこなす側に必要な3つの力
必要な力は3つです。
- やりたいことを言葉にして頼めること
- 出てきた内容が正しいかを、自分の業務知識で確かめられること
- 扱ってよい情報と、出してはいけない情報を判断できること
中小企業のデジタル人材育成は使いこなす側から始める
結論:中小企業が先に動かすのは、いまいる社員が業務で使いこなせるようになるほうです。専門人材は採用にも育成にも年単位でかかり、1人分の固定費が会社全体に占める割合も大きくなります。専門人材を採る余力がある会社は両方を並行して構いません。並行できない会社は、どちらを先にするかを決める必要があります。
デジタル人材の専門人材は中小企業ほど抱えにくい
専門人材の確保に時間がかかるのは会社の規模を問いません。中小企業でとくに重くのしかかるのは、時間ではなく1人分の固定費です。数十人の会社で1人採れば、その1人が会社の人件費のかなりの部分を占めます。想定していた仕事がなくなったときに、配置を変えて吸収するだけの余地がありません。
条件面の競争でも後手に回ります。同じ人を複数社で見ている状況では、提示できる条件と、その人が担当できる仕事の幅の両方で比べられます。どちらも規模の大きい会社のほうが用意しやすくなります。
育て終わる前に事業側の要求が変わることもあります。中小企業は方針の切り替えが速く、そこが強みでもあります。ただ、社員1人に特定の専門性を身につけてもらう計画を1年がかりで走らせている間に、必要な専門性のほうが入れ替わることがあります。
デジタル人材の底上げはいまいる社員で始められる
いまいる社員から始める利点は、業務知識がすでにあることです。どの作業がどれくらい面倒で、どこを間違えると顧客に迷惑がかかるかを知っている人が、そのまま自分の仕事を対象にできます。外から来た人が最初の数か月をかけて覚える部分を、飛ばして始められます。
対象が広いことも利点です。専門人材が担当できるのは、その人が受け持った領域に限られます。使いこなす側の育成は、営業でも経理でも製造の現場でも同時に進みます。自分の担当業務のうち、毎週のように繰り返している手作業を持っている人であれば、部署を問わず対象になります。
形になるのが早いことも大きな差です。仕組みを設計してつくる話は、決めることが多く、動くまでに時間がかかります。使いこなす側は、いまある道具と自分の業務だけで今週から試せます。うまくいかなければ翌週にやり方を変えられます。
生成AIでデジタル人材育成の学ぶ中身が変わった
使いこなす側から始めやすくなった直接の理由は、学ぶ中身が変わったことです。以前は、道具の操作を覚えるところに時間の大半がかかっていました。表計算の関数、集計ツールの画面の使い方、簡単なプログラムの書き方。どれも覚えるまでに時間が必要で、覚えた道具でできることの範囲も決まっていました。
生成AIが業務で使えるようになってから、学ぶ中身の中心は「自分の業務に当てはめること」に移りました。頼み方は日本語です。覚えるべきなのは操作ではなく、自分の仕事のどこを任せられるか、任せた結果をどう確かめるかのほうになります。
中小企業が生成AIで何をこなせるようになったかは、中小企業の生成AI活用の記事にまとめています。
全員が専門家になる必要はありません。同時に、専門人材が必要な場面はこれからも残ります。基幹システムの設計、部門をまたぐデータの整備、外注先の技術的な評価は、使いこなす側の育成では埋まりません。
使う生成AIは、自社の環境に合うものを1つ選びます。ChatGPT・Gemini・Claude・Copilot のいずれかで、すでに社内で契約しているものがあればそれで足ります。複数を並べて比べるより、1つを決めて業務で使い切るほうが早く進みます。
デジタル人材として専門人材に手を出す判断はどこで変わるか
順番を決めた以上、次に進む条件も決めておきます。専門人材を考え始めるタイミングは、次のような状態です。
- 使いこなす側では回らない仕事の型が、繰り返し出てくるようになったとき
- 外に頼むときの見積りの中身を、自社の誰も読めない状態が続くとき
- 推進役1人に相談が集中し、その人が休むと止まる状態になったとき
最初のタイミングは、部門をまたいでデータを揃える、既存システムと連携させるような要望が、単発ではなく毎月出てくる状態です。次は見積りの金額ではなく、書かれている作業の中身と工数の妥当性を判断できないまま発注が続いているかどうかです。最後の1つは、育成が進んだ結果として起きます。相談先が1人しかないので、その人の予定が空くまで全部署が待つことになります。
どれかに当てはまったら、育成だけで考える段階を抜けています。採用と外注も含めて手段を選び直す時期です。逆に、どれにも当てはまっていないうちは、専門人材を探すより先にやることが残っています。
デジタル人材を社内で育てる進め方
結論:社内で育てる手順は4つです。使いこなす社員の中から推進役を1人決め、その人の担当業務を1つ選んで学習の課題にし、使えた形を文章にして社内に残し、使える人が何人になったかで確かめます。研修の日程や年間の計画を先に固めるより、1つの業務で1本作りきるほうが先です。
推進役を1人立てることと、対象を1つに絞ること自体は、AI導入の手順の記事で解説しています。育成で変わるのは、選んだ1業務を成果物ではなく学習の課題として扱う点と、進み具合を導入率ではなく「できるようになった人数」で見る点です。
デジタル人材育成の手順1:使いこなす社員の中から推進役を決める
推進役は、専門人材ではなく使いこなす社員の中から兼任1人で出します。育成で効いてくるのは、選ぶ基準を技術力に置かないことです。詳しい人を指名すると、その人にとっての当たり前が説明から抜け落ち、相談する側が質問しづらくなります。少し前まで同じところでつまずいていた人のほうが、聞かれたことに答えられます。
推進役を立てて社内へ広げていく進め方は、生成AIの内製化の記事で段階ごとに解説しています。
ここで1つ決めておきたいのは、年間の育成計画を先に作り込まないことです。誰に何時間、どの講座を受けさせるかを最初に固めると、実際に使ってみて分かったことを反映する余地がなくなります。1つの業務で試した結果を見てから計画に落とすほうが、手戻りが少なく済みます。計画が要らないという話ではなく、順番の話です。
もう1つ、全部署へ広げる前に、扱ってよい情報の線引きを1枚決めておきます。判断に迷う社員が自分で線を引くと、部署ごとにばらつきます。線引きの中身は、無料AIのデータの扱いの記事で整理しています。
デジタル人材育成の手順2:1つの業務を学習の課題にする
全社研修から入ると、受けた人が自分の仕事に戻ったときに何をすればいいか分からなくなります。先にやるのは、推進役が自分の担当業務を1つ選び、そこで1本作りきることです。
選ぶ条件は3つあります。毎週繰り返している業務であること、文章か表を扱う業務であること、失敗しても取り返しがつく業務であることです。この3つを満たす業務は、どの部署にも1つはあります。
例として、問い合わせメールの下書きを選んだとします。毎週どころか毎日発生し、扱うのは文章で、社外に出る前に必ず人が読んで確かめます。書き出しの一文と、確認事項の並べ方に毎回時間を取られている、というのもよくある状況です。
業務を選んだ直後にやることが1つあります。始める前の状態を控えておくことです。その業務にいまどれくらい時間がかかっているか、誰が担当しているか、1週間に何件発生しているか。この3つを1行ずつ書き留めておくだけで足ります。あとで比べる相手がないと、変わったかどうかを誰も判断できません。
頼み方は、最初から凝ったものにしなくて構いません。次のくらいの粒度から始めます。
次の問い合わせメールへの返信の下書きを作ってください。〔問い合わせの本文をそのまま入れる〕。当社の対応方針は〔例:納期は社内で確認のうえ、翌営業日までに改めて連絡する〕です。宛名と署名は不要で、本文だけを300字程度でお願いします。こちらで確認しないと書けない点があれば、下書きのあとに箇条書きで挙げてください。
1回で使える下書きが出てくることは少なく、たいていは頼み方を何度か直すことになります。その直した過程が、そのまま次の手順の材料になります。
なお、同じ道具を渡しても使う人と使わない人に分かれます。その向き合い方は、使う人と使わない人の差の記事で扱っています。
デジタル人材育成の手順3:使えた形を教材にして社内に残す
効いた使い方を個人の工夫のまま終わらせると、その人が異動した時点でゼロに戻ります。文章にして社内に残します。残す単位は「この道具にはこういう機能がある」ではなく、「この業務ではこう頼む」です。
問い合わせメールの下書きであれば、何度か直したあとに残った頼み方を、そのまま社内に配れる形に書き直します。書き直すときに加えるのは、自社の事情のうち毎回同じものです。金額と納期をその場で書かないこと、お詫びの表現をどこに置くか、社内の呼び方ではなく顧客が使っている言葉に合わせること。こうした決めごとを頼み方の中に入れておくと、他の人が同じ結果にたどり着きます。
あなたは〔部署名〕の担当者です。お客様からの問い合わせメールに返信する下書きを作ります。守ってほしいことは3つあります。①金額と納期はこの場で書かず、確認のうえ改めて連絡すると書く ②お詫びの表現は冒頭に1文だけ入れる ③社内の呼び方ではなく、お客様が使っている言葉に合わせる。この3つを守って、次の問い合わせへの返信本文を書いてください。〔問い合わせの本文をそのまま入れる〕
置き場所は、社員が普段開いているところにします。共有フォルダの奥に1つファイルを作るより、部署の共有ドキュメントに1ページ足すほうが読まれます。
デジタル人材育成の手順4:使える人が何人になったかで確かめる
育成が進んだかどうかは、人数で数えます。配った頼み方を自分の業務で1回でも使った人が、部署別に何人になったかです。営業で3人、経理で1人、製造の現場で0人。この粒度で出しておくと、次にどこへ手を入れるかが見えます。全社で何割とまとめてしまうと、進んでいる部署と止まっている部署が同じ数字に混ざります。
数えたうえで、質のほうも見ておきます。出てきた内容をそのまま使っていないか。問い合わせメールの下書きであれば、送信済みのメールを何通か読めば分かります。原文のまま出ているなら、頼み方は使えていても、確かめる側の力がまだ付いていません。顧客名や金額など外に出せない情報の扱いも、決めた線引きに沿っているかを推進役が相談を受ける中で把握します。守れていない人を見つけて注意する場ではなく、線引きの内容が伝わっていない部署を見つけるための確認です。
そのうえで、手順2で控えておいた状態と比べます。その業務にかかっていた時間はどうなったか、担当は増えたか、配った頼み方は他の人にも同じように使えたか。ここで見たいのは削減できた時間そのものより、他の人が再現できたかどうかです。1人しか使えていない状態は、育成としてはまだ始まっていません。
数える対象は自社で決めます。何割まで下がれば成功、のような目標を外から持ち込むと、数字を作ることが目的になります。「意識が変わった」で終わらせないためには、人数と業務時間のように、後から数え直せるものを選んでおくことです。
デジタル人材育成に公的な教材と外部研修をどう使うか
結論:最初の1業務は自社の中だけで回せます。公的な無料教材は共通の言葉をそろえるのに向きますが、自社の業務に当てはめる作業と、社内に配る形にする作業は教材では代わりになりません。
手順1から手順3までは自社の中だけで進められます。外を使うか考えるのはその先、全部署へ広げる段階と、推進役が1人で抱えきれなくなったときです。
1人で抱えきれない規模になった推進を、体制と段取りを組んで回すやり方は、プロジェクトマネジメント研修の題材の選び方で解説しています。
デジタル人材育成に公的な無料教材が合う場面
経済産業省とIPAが運営するマナビDXには、無料で受けられる講座もあります。出典:経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「マナビDX」。
合うのは2つの場面です。1つは、本人に自分で学ぶ意思があるとき。もう1つは、社内で共通の言葉をそろえたいときで、部署でデジタル化の話がかみ合わないなら、同じ教材を全員が一度通すと会話が早くなります。
合わない場面もはっきりしています。教材が教えるのは一般的な考え方までで、自社の業務のどれを対象にするかは教材の外にあります。
デジタル人材育成を自社だけで進めるのが難しくなる条件
外部の研修を検討するかどうかは、次の3つのどれに当たるかで決めます。
- 最初の1業務をどれにするかが決まらず、選定と設計から一緒に見てほしい
- 推進役が1人で、うまくいかないときに相談できる相手が社内にいない
- 使えた形はあるのに、他の人が同じ結果を出せる文章にする作業が自社だけでは回らない
3つ目が最も多く残る課題です。うまく使えている人はいるのに、その頼み方が本人の中にしかなく、他の部署へ渡せていない状態を指します。当社のAI定着・社内展開研修は、この段階を対象にしています。研修の中身と選び方は、AI研修の記事で整理しています。
まとめ:デジタル人材の育成は使いこなす社員から広げる
- デジタル人材は、仕組みをつくる専門人材と、業務で使いこなす社員に分かれる。足りないのはどちらかを、いま止まっている仕事がつくる側か使う側かで見分ける
- 使いこなす側に必要な力は3つ。言葉にして頼めること、出てきた内容を業務知識で確かめられること、扱う情報を判断できること
- 中小企業が先に動かすのは使いこなす側。とくに重いのは専門人材1人分の固定費で、条件面の競争と、育て終わる前に要求が変わることも重なる。余力があれば並行して構わない
- 社内で育てる手順は4つ。推進役を1人決める、1つの業務を学習の課題にする、使えた形を教材にして社内に残す、使える人が何人になったかで確かめる。年間の育成計画は1業務で試した結果を見てから作る
- 確かめるときの主役は人数。配った頼み方を使った人を部署別に数え、始める前に控えた状態と比べる
- 専門人材を考え始めるタイミングは、使いこなす側では回らない型が繰り返し出る、見積りの中身を誰も読めない、推進役1人に相談が集中する、のいずれか
当社、株式会社AnataAIは、生成AIの活用と社内浸透を目的とした生成AI研修を提供しています。いまいる社員がデジタルを業務で使えるようにしたい、推進役を立てて社内へ広げたいという段階でしたら、お気軽にまずはご相談ください。
デジタル人材育成のよくある質問
Q1. デジタル人材はどこまでできれば使いこなす側と言えますか
A. 資格や認定は基準になりません。目安は、毎週繰り返している作業を1つ、頼むところから確かめるところまで自分で回しきれているかどうかです。回しきれていれば、もう使いこなす側です。逆に、講座を受け終わっていても自分の業務で1つも回していないなら、まだ手前です。
Q2. デジタル人材とDX人材は何が違いますか
A. 言葉の使われ方に幅があり、線引きは会社によって違います。DX人材は事業の作り替えを進める人を指すことが多く、デジタル人材はもう少し広く使われます。ただ、名前を詰めても打ち手は決まりません。仕組みをつくる側と使いこなす側に分け、自社はどちらが足りないかで考えるほうです。
Q3. 社内の情報システム担当と推進役の役割はどう分けますか
A. 動く環境を守る側と、使い方を配る側で分けます。情報システム担当は、契約や権限、社内の機器などの環境を守る役割です。推進役は、業務でどう頼めばよいかを試して社内に配る役割です。同じ人が兼ねる場合も、役割は分けて置きます。環境を守る仕事は待ったなしで入ってくるので、後回しになるのは配るほうです。
Q4. デジタル人材の育成にどれくらいの期間がかかりますか
A. 育てる相手によって桁が変わります。仕組みをつくる専門人材は、社内で育てるなら年単位です。業務で使いこなす側は、1つの業務に絞れば数週間で形が見えます。ただし、形が見えることと社内に広がることは別で、全社で何か月かかるかは対象の部署数と業務の数で変わります。
Q5. デジタル人材の育成に使える公的な支援制度はありますか
A. あります。社員の教育訓練にかかった費用や訓練中の賃金の一部を対象とする、厚生労働省の人材開発支援助成金があります。対象になる訓練の条件や申請の順序は、人材開発支援助成金の記事で解説しています。ただ、制度に合わせて計画を組むと申請の条件が先に来ます。自社で何を学ばせるかを決めてから探すほうが進めやすくなります。
この記事を書いた人

村田 欣祥
株式会社AnataAI 代表取締役社長。2007年より人材ベンチャー、東証上場企業グループ会社の取締役社長を経て、2023年に株式会社ラクスへ入社。「楽楽精算」等の営業戦略に携わる。累計10年以上の営業組織マネジメントと経営経験を活かし、2026年にAnataAIを創業。
「営業職こそAIを武器に」を掲げ、現場目線の生成AI活用による営業DX・業務改善コンサルティングやAI研修を提供している。


