Copilotで情報漏洩は起きる?学習させない設定より先にやる2つのこと

Copilotの情報漏洩に関する記事のイメージ図

結論:会社のアカウントで使うCopilotでは、入力した内容がAIモデルの学習に使われることはありません。Copilotを使う会社で起きる情報漏洩の経路は2つで、社外と社内です。社外へ出るのは、社員が個人アカウントや私用の生成AIに業務のデータを入れたときです。社内で広がるのは、共有設定が緩く、見る立場にない社員の回答に資料が出たときです。業務は会社のアカウントのCopilotだけで行い、社内の共有設定を見直したうえで社員教育を定期的に続ければ、情報漏洩のリスクは小さくできます。

2026年の秋は、企業が個人情報の漏洩や不正アクセスを公表するニュースが相次いでいます。多くはCopilotとは関係のない事案ですが、AI文脈で語られることも多く、自社で使っているCopilotは大丈夫かと心配になった担当者の方もいるはずです。

Copilotには、個人のアカウントで使うものと会社のアカウントで使うものがあり、同じアプリの中で切り替えられます。社員がどちらで使っているか、社内の資料をどこまで共有しているかで、情報の漏れ方も防ぎ方も変わります。

Copilot研修を行う株式会社AnataAIが、Copilotの学習の扱いと情報漏洩の防ぎ方を、マイクロソフトの公式ドキュメントと当社のCopilotの画面をもとにまとめました。

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目次

会社のアカウントで使うCopilotは、入力が学習に使われない

結論:会社のアカウントで使うCopilotには、Microsoft Copilot Chat(無料版)とMicrosoft Copilot(有料版)の2種類があり、どちらも入力が学習に使われません。学習させないための設定をする必要もありません。2つの違いは、Copilotが回答に使える社内のデータの範囲です。

入力も応答も学習に使われず、Microsoft 365 と同じ条件で守られる

マイクロソフトは公式ドキュメントで「Microsoft Graph 経由でアクセスされるプロンプト、応答、データは、Microsoft Copilot で使用されているものを含め、基礎 LLM のトレーニングには使用されません」としています。各社のデータは論理的に分けられ、保存時も転送時も暗号化されます。人によるレビューを含む Azure OpenAI の不正使用の監視も、Copilotは使っていません(出典:Microsoft Learn「Microsoft Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ」)。

プロンプトと応答は、会社のメールや SharePoint のファイルと同じ契約条件で扱われます(出典:Microsoft Learn「Microsoft Copilot および Microsoft Copilot Chat におけるエンタープライズ データ保護」)。

Copilotの無料版と有料版の違いは、回答に使える社内のデータの範囲

Microsoft Copilot Chat(無料版)は、Microsoft 365 の法人向けプランに追加料金なしで含まれているCopilotです。2026年秋に「Microsoft 365 Copilot Chat」から名前が変わり、有料版も「Microsoft 365 Copilot」から「Microsoft Copilot」になりました。移行期間中は、画面やライセンスに旧名が残っています(出典:Microsoft Learn「Microsoft Copilot Chatの管理」)。個人用Copilotとは別物で、会社のアカウントで使う限り、上の保護がそのまま適用されます。社内のデータを使うのは、次の3つのときに限られます(出典:Microsoft Learn「Microsoft Copilot Chat プライバシーと保護」)。

  • 社員が渡したとき:文章を貼り付けたり、ファイルをアップロードしたりしたときです。
  • OutlookやTeamsの中で使うとき:開いている内容を読みます。Outlookでは本人のメール・予定表・会議・チャットに加え、よく使うSharePointサイトや直接共有されたファイルも読みます。
  • 社内のデータにつながるエージェントを使うとき:エージェントが読めるデータを使います。

Word・Excel・PowerPointの中のCopilotは、無料版だけでは使えません。追加のライセンスがなくても使える場合がありますが、契約しているプランによって変わります(出典:Microsoft Learn「Microsoft Copilot とは?」)。

Microsoft Copilot(有料版)は、1人ずつ有料のライセンスを追加して使うCopilotです。「Work IQ」がオンのときは、社員が渡さなくてもその社員が見られるメール・予定表・Teamsのチャット・ファイルを探して回答を作ります。

個人用CopilotMicrosoft Copilot Chat(無料版)Microsoft Copilot(有料版)
サインイン個人の Microsoft アカウント会社のアカウント会社のアカウント
会社の契約含まれないMicrosoft 365 の法人向けプランに含まれる有料ライセンスを追加
入力が学習に使われるか2026年8月18日以降の版は使われない使われない使われない
回答に使う社内のデータなし貼り付けた文章・アップロードしたファイル、OutlookやTeamsで開いている内容など社員が見られるメール・チャット・ファイル(Work IQ がオンのとき)
管理する人社員本人会社の管理者会社の管理者

Microsoft Copilot(有料版)が社内のデータを使ってできることは、Copilotは何ができる?9つの便利な使い方とはで紹介しています。

Copilotの情報漏洩は、社外へ出る経路と社内で広がる経路の2つ

結論:社外へ出るのは、社員が会社の管理の外にあるAIに業務のデータを入れたときです。社内で広がるのは、共有設定が緩い資料を、Copilotが見る立場にない社員の回答に使ったときです。

社外への情報漏洩は、会社の管理の外にあるAIへの入力から起きる

2026年9月には特定保健指導を受託していたRIZAPの社員が、会社が業務での利用を許可していない外部の生成AIサービスに氏名や疾患情報などの顧客の個人情報を入力していました。発覚したのは、作業した社員自身の申告です(出典:日経xTECH「RIZAPで『シャドーAI』、社員が顧客情報を誤投入 委託元が約2万人分被害」)。

委託元の健康保険組合の1つは、入力された情報が生成AIの学習に利用された可能性はないと確認したうえで、対象者について「漏洩の可能性がある」と公表しました(出典:健康保険組合のお知らせ「特定保健指導業務の委託先における生成AI利用に関する事案発生について」)。学習に使われていなくても、会社が認めていないサービスに顧客の情報を入れたこと自体が、漏洩の可能性として公表されました。

個人用Copilotも、2026年8月18日以降の版では入力が学習に使われません(出典:Microsoft サポート「個人向け Microsoft Copilot: アクティビティの履歴」)。ただ、会社の管理の外にある点は私用の生成AIと同じです。業務のデータを入れれば、そのデータは会社の管理の外に出ます。

社内での情報漏洩は、緩い共有設定をCopilotがそのまま使うことで起きる

公式ドキュメントには「Microsoft Copilot は、個々のユーザーが少なくとも表示アクセス許可を持っている組織データのみを表示します」とあります。Copilotが権限を越えて資料を見せることはありません。ただし権限の上では見られるのに誰も気づいていなかった資料も、探さなくても回答に出すようになります。

たとえば「社内の全員」に共有されたままの人事評価のフォルダがあると、「給与の改定について教えて」と聞いた社員の回答に、そのフォルダの中身が使われます。起きるのは主にMicrosoft Copilot(有料版)と、社内のデータにつながるエージェントを使う場合です。Copilotのノートブックを共有すると、中に入れたファイルの権限も変わることは、Copilot ノートブックとは?チャット・エージェントとの違いで解説しています。

Copilotの情報漏洩を防ぐ1つ目は、業務を会社のアカウントのCopilotだけで行うこと

結論:業務で使う生成AIを会社のアカウントのCopilotに決め、個人アカウントや私用の生成AIには業務のデータを入れないことを社内のルールにします。ルールは配って終わりにせず、AI研修などの社員教育を定期的に行って定着させます。会社のアカウントで使っているかは画面の表示で確かめられます。

会社のアカウントで使っているかは、右上の緑の盾と左下の「職場」で確かめる

Copilotのアプリには、会社のアカウントでも個人の Microsoft アカウントでもサインインできます。同じアプリでもチャットの履歴・ファイル・保護の仕組みは、どのアカウントでサインインしたかで別々に扱われます。

2026年10月9日に当社のCopilot(Web版)をパソコンで確かめたところ、会社のアカウントでは画面の右上に緑色の盾のアイコンがあり、「このチャットにはエンタープライズ データ保護が適用されます。」と表示されました。左下のアカウント名には「職場」の表示が付きます。社員の画面にこの2つがなければ、個人のアカウントで使っている可能性があります。

管理者はテナントの制限 v2 を使えば、会社のネットワークや会社が管理する端末で個人の Microsoft アカウントでのサインインを止められます(出典:Microsoft Learn「テナント制限の構成」)。

会社のCopilotに入れてよい情報を決めて社内に配る

会社のアカウントのCopilotには、業務のデータを入れて使えます。入れないのは、法令や取引先との契約で外部での処理が禁じられた情報だけです。この線引きを決めずに「入力に注意」とだけ伝えると、社員は会社のCopilotに入れてよいのかを判断できず、私用のAIで済ませがちです。禁止だけでは私用のAIが止まらない理由は、シャドーAI対策とは?道具と使い方を配るまで止まらない理由で解説しています。

管理者は、Microsoft Purview のデータ損失防止で、特定の機密情報を含むプロンプトにCopilotが応答しないように設定できます。社員が会社のCopilotを使っているかは、Microsoft 365 管理センターの[利用状況]で[Microsoft 365 Copilot]→[Copilot Chat]を開くと(画面は旧名のまま)、アクティブなユーザーと送信されたプロンプトの数で確かめられます。有料版の利用は、同じ一覧の[Copilot]で見られます。

よく使う指示を社内で共有しておくと、会社のCopilotで終わる業務が増えます。共有の方法は、Copilotのプロンプトラボとは?開き方と社内で共有する方法で紹介しています。

ルールは社員教育とセットにして、数か月に1回は繰り返す

ルールを決めて配るだけでは、私用のAIへの入力は止まりません。RIZAPの事案も、会社が業務での利用を許可していないサービスで起きています。社員が何を入れてはいけないのか、入れると何が起きるのかを理解していなければ、ルールは守られません。

そのために欠かせないのが社員教育です。AI研修で会社のCopilotの正しい使い方と入れてはいけない情報を、実際の業務に沿って身につけてもらいます。正しく使えばCopilotは業務の生産性を上げますが、その効果も情報漏洩の防止も、社員教育とセットで考えるのが前提です。

加えて、社員教育は1回で終わらせず、数か月に1回など定期的に行うことをおすすめします。時間がたつと危機意識は下がり、あとから入った社員は教育を受けていません。Copilotの機能や画面も変わり続けています。社内でAI研修を続ける時間や講師を用意するのが難しい場合は、当社のCopilot研修でもお手伝いできますので、お気軽にお問い合わせください。

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Copilotの情報漏洩を防ぐ2つ目は、社内の共有設定を見直すこと

結論:有料ライセンスを割り当てる前に、共有しすぎのサイトやフォルダを洗い出して権限を直し、新しく作るサイトが広く共有されないようにします。手順はマイクロソフトが公開しています。

マイクロソフトの手順は3つの柱でできている

マイクロソフトは、Copilotの導入前に整えることをブループリント(展開の手引き)として公開しています(出典:Microsoft Learn「Secure & Governed Data Foundation for Microsoft Copilot – 基本的な展開ガイダンス」)。

  1. 過剰共有を直す:共有しすぎのサイト、所有者がいないサイト、使われていないサイトを洗い出します。
  2. ガードレールを設定する:新しく作るサイトや共有リンクを最初から広く共有されない設定にし、秘密度ラベルを付けます。
  3. 規制に準拠する:Copilotとのやり取りの記録をどう扱うかを決めます。

1つ目の柱で使うのが、サイトの所有者に誰がアクセスできるかを見直してもらう、SharePoint 高度な管理のサイト アクセス レビューです。SharePoint 高度な管理は Microsoft Copilot のライセンスに含まれています(出典:Microsoft Learn「Microsoft Copilot の安全で管理された基盤を構成する」)。権限を直したら、2つ目の柱で新しく作るサイトの初期設定も固めます。固めないと、直したあとにまた広い共有が増えます。

制限付きSharePoint検索は、2026年7月末から新しく有効にできない

Copilotの回答に使うサイトを一時的に絞る制限付きSharePoint検索は、廃止が決まり、2026年7月31日以降は新しく有効にできなくなりました。代わりに勧められているのは、機密のサイトをCopilotの検出から外す制限付きコンテンツ検出です(出典:Microsoft Learn「制限付き SharePoint 検索」)。どちらもCopilotから見えなくするだけで、サイトの権限は変わらないため、権限そのものはサイト アクセス レビューで直します。

Copilotの不具合とエージェントは、管理者が管理センターで確かめる

結論:管理者はCopilotの不具合の告知を確かめ、エージェントや外部のアプリは組織で許可したものだけを使えるようにします。

2026年1月には、Copilotの不具合でラベル付きのメールが要約された

2026年1月21日に検知された不具合(追跡ID CW1226324)では、データ損失防止(DLP)の設定があるにもかかわらず、Copilotのチャットが Outlook の送信済みアイテムと下書きにある秘密度ラベル付きのメールを要約していました。マイクロソフトは2月上旬から修正を展開し、見る権限のない情報に誰かがアクセスできるようになったわけではないと説明しています(出典:BleepingComputer「Microsoft says bug causes Copilot to summarize confidential emails」)。こうした告知は、Microsoft 365 管理センターの[メッセージ センター]と[サービス正常性]で確かめます。

外部のアプリやエージェントは、展開するとCopilotで使われる

2026年10月9日に当社の Microsoft 365 管理センターで確かめたところ、[統合アプリ]の画面には、ユーザーに展開したアプリは「Microsoft Copilot での使用が既定で有効になります」と書かれていました。外部のアプリやエージェントは、それぞれの利用規約で組織のデータを扱います。展開する前に、必要な権限と規約を確かめます。エージェントの一覧は、同じ画面の案内にある[エージェント]→[すべてのエージェント]で管理します。

Copilotの情報漏洩リスクを小さくするためにやること

  • 業務で使う生成AIは会社のアカウントのCopilotに決め、個人アカウントや私用の生成AIに業務のデータを入れないことを社内のルールにします。
  • 会社のアカウントで使っているかは、画面右上の緑の盾と、左下の「職場」の表示で確かめます。
  • 会社のCopilotに入れてよい情報と入れない情報を決めて社内に配ります。
  • AI研修などの社員教育を数か月に1回は行い、社員の危機意識を保ちます。
  • 有料ライセンスを割り当てる前に、共有しすぎのサイトやフォルダの権限を直します。
  • 管理者は不具合の告知を確かめ、外部のアプリやエージェントは許可したものだけにします。

株式会社AnataAIは、生成AI研修を行っており、「Copilot研修」も提供しています。数か月ごとに続ける社員教育としてもご利用いただけます。社内だけで進めるのが難しい場合は、お気軽にまずはご相談ください。

Copilotの情報漏洩でよくある質問

Q1. 社員が私物のスマートフォンで個人用Copilotを使うのは止められますか?

A. 私物の端末を社外のネットワークで使う場合は、止めきれないことがあります。テナントの制限 v2 は、会社のプロキシや会社が管理する Windows 端末などを通る通信を対象にした仕組みです。私物の端末からの利用は、業務のデータを私物の端末に置かない運用と組み合わせて防ぎます。

Q2. Copilotとのやり取りは会社に記録されますか?

A. 記録されます。プロンプトと応答は保存され、保存中は暗号化されます。管理者はコンテンツ検索や Microsoft Purview で内容を確認でき、保持期間も設定できます。

Q3. CopilotでWeb検索を使うと、入力した内容は社外に出ますか?

A. 入力した文章全体ではなく、Copilotが作った数語の検索語句だけが Bing に送られます。検索語句には、ユーザー名やテナントIDなどの識別子は含まれません。管理者は「Copilot での Web 検索を許可する」ポリシーで、Web検索を止められます。

この記事を書いた人

株式会社AnataAI 代表取締役社長 村田欣祥

村田 欣祥

株式会社AnataAI 代表取締役社長。2007年より人材ベンチャー、東証上場企業グループ会社の取締役社長を経て、2023年に株式会社ラクスへ入社。「楽楽精算」等の営業戦略に携わる。累計10年以上の営業組織マネジメントと経営経験を活かし、2026年にAnataAIを創業。

「営業職こそAIを武器に」を掲げ、現場目線の生成AI活用による営業DX・業務改善コンサルティングやAI研修を提供している。

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