新卒研修にAI研修は必須?人事部で抱えず外部に任せるべき理由

新卒研修に関する記事のイメージ図

結論:新卒研修にAI研修は必須です。企業理念や配属先のOJTは社内に残し、毎年中身が変わるAI研修だけを外部に任せると人事部の負担を抑えられます。研修だけで入力の事故がなくなるわけではないため、会社で使う生成AIと入れてはいけない情報は人事が社内ルールとして決めておきます。

2026年の秋は、業務のデータが外部の生成AIサービスにアップロードされたことを企業が公表するニュースが続いています。社員が個人で使っている生成AIや会社が利用を禁止している生成AIに個人情報を含むデータが入った事案で、公表された再発防止策には社員への教育が入っています。

2027年4月に入社する新卒の研修カリキュラムでは、ビジネスマナーや自社の事業の理解は例年どおり回せても、生成AIの研修は誰がいつ何を教えるかを決める必要があります。

法人向けのAI研修を行う株式会社AnataAIは、新卒研修に組み込む生成AIの研修の相談も受け付けています。

【無料】新入社員AI研修サービス紹介資料

新入社員AI研修 サービス紹介資料の表紙

研修の中身と料金が3分で分かる資料

目次

新卒研修にAI研修が必須になった理由

結論:新卒研修は全社員に同じ教育を届ける最初の機会です。業務のデータが会社の認めていない生成AIに入った事案の公表が続く今、AI研修は新卒研修として必須と言えます。

新卒のAI研修を全員に行ったという回答は4割未満

一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が業務で生成AIを使える会社の指導・教育担当者1,014名に聞いた調査(2026年6月)では、2026年度に新卒向けの生成AI研修を実施したと答えた人は93.5%でした。ただし対象を新卒全員にしたという回答は38.5%にとどまり、特定の部署・業務に絞ったか試験的に一部だけで行ったという回答が合わせて55.1%でした。(出典:一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)「新卒社員向け生成AI研修に関する実態調査」)

研修で扱った内容はリスク49.6%・基礎知識48.7%・社内ルール48.2%の順で、どれも職種に関係なく必要になる守りの知識です。部署を絞って行うと、この知識を持たない新卒も配属先で顧客の情報や社内の資料を扱うことになります。新卒のAI研修は部署を絞らず全員に行う必要があります。

新卒は入社前から生成AIを使っている

産業能率大学総合研究所が2026年度に入社した500人に聞いた調査では、入社時点で何らかの形で生成AIを使ったことがある人は83.2%でした。生成AIの普及で仕事の進め方が変わると答えた人も83.6%います。(出典:産業能率大学総合研究所「2026年度 新入社員の会社生活意識調査 生成AI活用意識編」)

入社前から使っている新卒は、仕事でも同じ使い方をする可能性があります。どの生成AIに何を入れてよいかは会社ごとに違うため、業務のデータを扱い始める前に会社の決まりを伝える必要があります。

会社が認めていない生成AIへの情報漏洩が続いている

2026年9月にRIZAPは、特定保健指導の対象者のデータを社員が個人で使っている外部の生成AIサービスにアップロードしたと公表しました。データには保険証記号番号・氏名・生年月日などのほか、一部の人の疾患情報も含まれていました。(出典:RIZAP「当社における外部生成AIサービスへのお客様情報の誤ったアップロードに関するお詫びとお知らせ」)

10月にはパナソニック オペレーショナルエクセレンスが、人事情報システムの導入プロジェクトで会社が利用を禁止している外部の生成AIサービスに個人情報を含むデータがアップロードされたと公表しました。対象は従業員・元従業員とその家族の計約33万人分です。データをAIの学習に使う機能はアップロードの時点で無効になっていましたが、会社のルールに反したアップロードとして公表に至っています。(出典:パナソニック オペレーショナルエクセレンス「外部生成AIサービスへの個人情報アップロードに関するお詫びとお知らせ」)

2社の事案はどちらも外部からの攻撃によるものでなく、業務に関わる人がデータを会社の認めていない生成AIに入れたことで起きています。再発防止策にはどちらも社員への教育が入っています。どちらも新卒に限った事案ではありませんが、同じことは入社したばかりの社員にも起こり得ます。

AI研修をやらないまま新卒を配属するリスク

新卒も配属された日から顧客の情報や社内の資料を扱います。AI研修をしないまま配属すると、どの生成AIに何を入れてよいかを新卒が自分の感覚で決めることになります。利用を禁止していた生成AIでもアップロードは起きており、禁止を決めただけでは防げなかった例もあります。

事故が起きた後は個人情報保護委員会への報告・対象者へのお知らせ・問い合わせ窓口の設置と対応が会社に残ります。研修は時期と範囲を会社が決めて準備できますが、事故の後の対応は時期も範囲も選べません。

答えの確かめ方も入社直後に教える内容です。同じGUGAの調査では、新卒が生成AIを使うことへの懸念として「誤情報(ハルシネーション)の鵜呑み」を挙げた担当者が43.0%いました。配属直後は業務の知識がまだ少なく、生成AIが下書きした提案書や報告の誤りに気づきにくい時期です。

AI研修をやらない場合、情報の扱いと答えの確かめ方は配属先の上司と新卒本人の判断に任されます。配属先ごとに教え方が変わり、上司が生成AIを使っていない職場では誰も教えないまま仕事が進みます。新卒が生成AIを使える状態で入社してくる以上、AI研修をやらないという判断は会社がこの状態を選ぶことと同じです。

【無料】新入社員AI研修サービス紹介資料

新入社員AI研修 サービス紹介資料の表紙

研修の中身と料金が3分で分かる資料

新卒のAI研修を人事部だけで回すのが難しい理由

結論:4月の人事部は新卒の受け入れの仕事が重なります。生成AIの研修は事故の事例や製品の名前・画面に合わせて毎年中身を見直すため、その時期に人事部だけで最新の情報を追って教材を作り直すと負担が大きくなります。

生成AIの研修は毎年見直す

生成AIに関わる事故が公表されると、研修で紹介する事故の事例を新しいものに入れ替えることになります。会社で使う生成AIの名前や画面が変わることもあります。ほんの一例ですが、2026年にはGoogleがNotebookLMの名前をGemini Notebookに改め、Microsoftも「Microsoft 365 Copilot」の名前を「Microsoft Copilot」に改めました。(出典:Google「NotebookLM is now Gemini Notebook」・Microsoft Learn「Microsoft Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ」)

新卒研修の教材は1年に1回しか使わないため、前の年に撮った画面の写真や操作の説明が翌年の4月には合わなくなることがあります。研修の前に画面と事例を確かめ直す作業が毎年発生します。

新卒研修のうちAI研修だけを外部に任せる分け方

結論:生成AIの基礎とリスクと配属後の演習は外部に任せ、企業理念と配属先のOJTは社内に残します。ビジネスマナーは今の形のままで構いません。社内ルールの中身は人事が決め、外部の講師がそのルールに沿って教えます。

科目ごとに、自社に固有の情報が必要かと中身が毎年変わるかで担当を決めます。自社に固有の情報が必要な科目は社内が中身を決め、中身が毎年変わる科目は外部の研修会社に任せます。両方に当てはまる科目は外部と社内で役割を分けます。

科目時期担当分ける理由
ビジネスマナー入社直後今の形のまま(社内でも外部でも)どの会社にも共通で中身が大きく変わらない
企業理念・自社の事業の理解入社直後社内自社に固有で中身が変わりにくい
生成AIでできることと答えの確かめ方内定者期間〜配属前外部(動画・オンライン・講師)どの会社にも共通で中身が毎年変わる
社内ルールと入れてはいけない情報入社直後(配属前)決めるのは人事・教えるのは外部の講師(会社のルールに沿って)自社に固有で中身は大きく変わらない
配属先の業務での演習配属後外部の講師と配属先(題材は配属先が出す)自社に固有で毎年変わる
配属先のOJT配属後配属先職場ごとの仕事の進め方そのもの

社内と外部で役割を分ける科目

社内ルールと配属先での演習は社内と外部の両方が関わります。社内ルールは人事が中身を決めたうえで、外部の講師が会社の決まりに沿って説明と演習を組み立てます。配属先での演習は研修会社が職種ごとの型を用意し、題材にする書類や業務は配属先の上司が出します。研修会社には配属予定の職種の内訳を先に伝えておくと、型の組み立てを相談しやすくなります。

外部に任せるAI研修で扱う内容

新卒向けのAI研修では、生成AIにできることとできないこと(答えの誤りの確かめ方を含む)・会社のルールに沿った情報の扱い・配属先の業務での使い方の演習を扱います。

配属の時点では、新卒が会社の生成AIで下書きを作り、答えを自分で確かめられる状態を目指します。演習の題材は職種で変わり、営業職なら商品提案書の構成案づくり、事務職なら会議の議事録の要約が例です。

新人営業の育成と合わせる場合は新人営業研修は何をする?立ち上がりを早めるカリキュラムと生成AIの使い方で紹介しているカリキュラムが参考になります。

外部に依頼するときに確かめること

生成AIの基礎は動画やオンラインの教材でも受けられます。配属先の業務に合わせた演習は、講師が題材を用意できる講師派遣やライブのオンライン研修が向いています。

依頼の前には、会社の生成AIの画面で演習できるか・配属先の業務を題材にできるか・社内ルールづくりも相談できるか・研修後の質問にどこまで応じるかを確かめます。

新卒のAI研修を外部に任せても人事が決めること

結論:研修会社が教える中身の土台になる社内ルールは人事が決めます。もしルールが無い場合は研修会社が協力してくれるかも確認するとよいでしょう。

準備は、会社で使ってよい生成AIを決める・入れてはいけない情報を社内ルールにまとめる・研修会社に配属先の職種を伝えて依頼する・入社日にアカウントを渡す、の順に進めます。

入れてはいけない情報を社内ルールにまとめる方法と、会社として使う生成AIを1つに絞る考え方はシャドーAI対策とは?道具と使い方を配るまで止まらない理由で紹介しています。自社の議事録や見積を題材に社内ルールを決める進め方は、当社の生成AIの情報漏洩対策研修で扱っています。

入社日に会社の生成AIのアカウントを渡す

研修で使う画面と配属後に使う画面が同じなら、新卒は研修で覚えた操作をそのまま仕事で使えます。研修の日までにアカウントを用意し、入社日に社内ルールと一緒に渡します。

企画する人事の担当者も会社の生成AIを使っておく

GUGAの事務局長は調査の発表で「講師の手配にとどまらず、研修を企画・運営する担当者自身のAIリテラシー向上こそが今後の鍵を握るでしょう」とコメントしています。外部に依頼しても、どの教材や演習を選ぶかを決めるのは人事です。研修の前に担当者自身が会社の生成AIで自分の業務を試しておくと、研修会社の提案を比べやすくなります。

配属後はセキュリティの面から見る

新卒研修のAI研修は、会社のルールや生成AIのリスクといった守りの知識を身につけることが中心です。仕事の成果がどれだけ変わったかは配属先の業務や本人の経験で大きく違うため、研修の効果として切り分けて測るのは難しく、配属後に効果を検証する必要はありません。

配属後に見ておくのは、入れてはいけない情報を生成AIに入れていないかです。情報システムの担当者がセキュリティの観点で把握しておく程度で足ります。配属先の上司には社内ルールと研修の内容を伝えておきます。

新卒のAI研修は担当者の時間まで含めて費用を比べる

結論:社内で作るAI研修は研修費の代わりに担当者の時間が毎年かかるため、外部の研修費と並べて比べます。助成金を使う場合は研修の内容に合うコースを申請の前に確かめます。

社内で新卒のAI研修を作る場合は、事故の事例や製品の変更を調べる時間・教材を作り直す時間・講師役を務める時間・研修後の質問に答える時間が担当者に毎年かかります。社内で作れば外部への支払いは発生しませんが、担当者の人件費は毎年かかっています。生成AIの進化は非常に速く、そのためAI研修は中身が毎年変わり社内で作る費用が1回で終わらないため、担当者の時間まで含めて比べると外部に任せたほうが費用対効果は高くなりやすいと言えます。

上司に説明するときは研修費だけで比べず、社内で作る場合に毎年かかる担当者の時間も並べます。外部に任せたあとも社内ルールを決めることは人事の仕事として残ります。

助成金は使うコースによって対象が変わる

人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースは、2026年8月3日以降に提出された計画届から対象を見直しました。DX・GX化に関する訓練であっても、職務の種類を問わず職業人として共通して必要となる内容は対象外です。厚生労働省は汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練を対象外の例に挙げ、営業担当者向けに生成AIで商品提案書の構成案を作る方法を学ぶ訓練を対象の例に挙げています。マナーやリテラシー・概念の理解にとどまる内容かどうかも確かめる点に挙げており、新卒研修で行う生成AIの基礎の研修は対象外になる場合があります。(出典:厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正 令和8年8月3日からの変更点について」)

新入社員の研修に使えるコースはほかにもあり、どのコースを使えるかは研修の内容と形式で変わります。経過措置もあるため申請の前に労働局へ確かめます。コースの選び方と申請の流れは人材開発支援助成金とは?わかりやすくAI研修でいくらもらえるか解説【2026年・中小企業向け】で紹介しています。

新卒のAI研修のまとめ

新卒研修のうちAI研修を外部に任せると決めたら、会社で使う生成AIと入れてはいけない情報を社内ルールにまとめるところから取りかかります。社内ルールがあれば、研修会社にはそのルールに沿った研修を依頼できます。

新卒研修のうち生成AIの研修を外部に任せたい場合や、社内ルールがまだ無く研修とあわせて整えたい場合はご相談ください。株式会社AnataAIは営業向けの生成AI研修を行っており、新人営業を含む営業職の配属がある会社には営業の業務に合わせた演習を用意できます。

新卒のAI研修でよくある質問

Q1. 新卒が私用のスマートフォンで生成AIを使うのは禁止すべき?

A. 私生活での利用まで禁止する必要はありません。社内ルールには、業務のデータを私用の端末や個人のアカウントの生成AIに入れないことを書きます。社用の端末を持たない職種には、会社の生成AIを使える端末と場所を決めておきます。

Q2. 内定者のうちにAI研修を始めてもいい?

A. 会社の情報を使わない内容なら始められます。内定の段階では社内の資料や顧客の情報を題材にできないため、一般的な文章を使った練習にとどめます。会社のアカウントを入社日に渡すことにしておくと、内定を辞退した人に社内の情報が渡ったままになりません。

Q3. 研修を欠席した新卒や年度の途中で入社した人はどうする?

A. 新卒研修で使った動画教材と社内ルールを入社時に渡します。外部の研修会社に依頼するときは、録画や教材を研修の後に入社した人にも使えるかを確かめておきます。

この記事を書いた人

株式会社AnataAI 代表取締役社長 村田欣祥

村田 欣祥

株式会社AnataAI 代表取締役社長。2007年より人材ベンチャー、東証上場企業グループ会社の取締役社長を経て、2023年に株式会社ラクスへ入社。「楽楽精算」等の営業戦略に携わる。累計10年以上の営業組織マネジメントと経営経験を活かし、2026年にAnataAIを創業。

「営業職こそAIを武器に」を掲げ、現場目線の生成AI活用による営業DX・業務改善コンサルティングやAI研修を提供している。

【無料】新入社員AI研修サービス紹介資料

新入社員AI研修 サービス紹介資料の表紙

研修の中身と料金が3分で分かる資料